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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


結局、教授の姿が見えないまま、時間だけが過ぎていって……その内に、飲み放題の制限時間が来て、あっという間に店の外に出る事になってしまった。

どうする? 二次会行く? なんて盛り上がってる。

「神崎さん、行く?」

「い、いえ、私はもう帰ろうかなって思って……今日、教授はいらっしゃらないんですか?」

「え? 教授って?」

パッチリとしたまつげの彼女は、全く心当たりのないというような表情。
あれ……タケさんに誘われた時、教授が来るから出席しないと失礼って聞いたんだけど……。

「あ、なんでもない……です。今日は私、帰りますね」

普段、皆とあまり会話をする機会もなくて、正直何を話して良いのか分からなくて。
もう夜も遅いし、今日は帰った方が良さそう。

「分かった! またね、神崎さん」

ニッコリと微笑んで手を振ってくれる彼女に手を振り返して、振り返ろうとした瞬間。

「あれー、神崎さん、帰んの?」

例のタケさんから声を掛けられた。
輪の中心に居た彼は、私が帰ろうとしたのを見つけたらしく、小走りで駆け寄ってくる。

「すみません、今日はもう遅いし帰ろうと思って」

「えー、マジでー? 俺、神崎さんともっと喋りたかったのにさ」

「す、すみません……」

さっきの居酒屋でも、彼とは殆ど話していない。
出来るだけ男性の近くに座らないように、女の子が集まっている所にばかり居たからだ。

懇親会というからには、もっと皆と色々コミュニケーションを取らなきゃいけなかったのに、つい……。
反省。
今度からは、ちゃんとそういう所も気を付けないと。
自分の感情だけで人付き合いをしていい年齢じゃないんだ。

「じゃ、残念だけどまた誘うよ。俺さ、正直神崎さんの事、気になってんだよね」

「え?」

「またね」

彼は、明るくそう言うと、また皆の輪に戻ってしまった。
どういう意味だったんだろう……?

少しの疑問を残したまま、足を駅に向けた。








「タケ、珍しいじゃん。あーいうのタイプ? もっと派手な子の方が好きかと思ったよ」

「ちげーよ。ああいう男経験ない子の方が、やっちゃった後に泣き寝入りするからチョロいんだって」


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