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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


「あ、涼太がおすすめしてくれたこのお茶、すっきりして美味しい」

「暑くなってきたから、いいっスよね」

「うん、ほんのり甘いのもなんだかホッとする。教えてくれて、ありがとう」

彼女の手の中にあるのは、一見麦茶のような色の液体。
正体はシトラスティー……少し甘いグレープフルーツティー、という表現が一番近いか。

飲み口はスッキリしていて、でも甘さもあって……今のみわの心境には一番合うかもしんないと思って。

オレはザクロジュースにした。
ちょっと甘酸っぱさが恋しくなったから。

お互い、少しの間ドリンクを味わって、一緒に頼んだワッフルを口に運び……そしてほんの小さなため息を漏らしたみわが、語り出した。

「……あのね、小学校の同級生が、いたの」

だけど、その内容はオレが想像していたそのどれとも違ってて。
まさかの、小学校の同級生?

「え……どこかで、会ったんスか?」

「うん、会ったっていうか、今行ってるK大バスケ部の……選手なの」

「マジスか」

「うん」

普通なら、そうなんだ奇遇っスね、で済む話題だ。
でも、違う。みわの場合は、それじゃ済まない。

みわには、小学生の頃の記憶は殆どない。
誰も知らない、空白の記憶。

その相手から、なんてことない感じで過去の話をされたら、どう思うだろうか。
想像しか出来ないけど……なんか、モヤモヤして気分が悪くなりそうだ。
自分だけが分からない、目の前の相手が言っている事が本当なのかどうかも分からない。
グルグルと不安だけが渦巻いてしまうかもしれない。

みわの疲れた顔の原因はそれだったのか。

「過去の話、あんまりしないようにしたら? そんなにしょっちゅう話す機会があるんスか?」

いい解決法がすぐに見当たらなくて……そんなの、一時凌ぎとは分かっているんだけど。

「うん、今は昔の話をする事は減ったんだけど……やっぱり、私の家族の事を知ってるっていうのが、気になって」

「みわのお父さんやお母さんのコト、知ってるってことっスもんね」

「うん……あと、お姉ちゃんが、いたって」

「え?」



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