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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


「この間さ、悩んでたじゃないスか。なかなかコミュニケーションがうまく取れないヤツがいるって。その後どうなんスか?」

もしかして、それでまだ悩んでいるんだろうか。
みわは、良くも悪くも入れ込みやすいから……。
彼女の長所でもあるんだけど、引きずられすぎも良くないと思うし。

「うん、この間は本当にありがとう。少しずつ、少しずつだけどね、うまく出来てるかも」

いつもの優しい笑みがこぼれて、ホッと安心した。
元気がないのは、それじゃなかったのか。

「やっぱ、長距離移動が続くとキツい? みわ、すげー疲れてるみたいっスけど」

もう、遠回しに探るようなコトはしたくなくて、ストレートに聞いた。
みわは、驚いたように頬に手のひらを当てる。

「え……ごめんなさい、私、そんな風に見える?」

やっぱり、今日の態度には全く自覚がないみたいだ。

「いや、謝ることないんスよ。慣れない事すると疲れるでしょ。今日はもう帰ろっか。送るっスわ」

残念だけど、みわの体調が優先だ。
また、来月会えるんだし。

「ち、違うの!」

「ん?」

「疲れてるとかじゃ、なくて……ちょっと、悩んでる事が、あって」

みわは、言い辛そうに視線をテーブルに落とした。

濃い木製のテーブルは、声を反響することなく、柔らかく受け止めてくれるような温かみがある。
この店にして良かったかもしれない。
なんとなく、ここは深刻な話でも気負わずに出来そうな雰囲気だ。

「悩み事? オレが聞いても問題ない?」

「うん……というか、まだ自分の中でも全然整理がついてなくて」

また、荷物が増えてしまったんだろうか。
みわは、自分の声が掠れてしまっている自覚もないみたいだ。

「じゃ、ゆっくり整理しながら話して貰える? お茶一杯追加で頼んでさ」

彼女の代わりに返事をするかのように、空になったグラスの氷がカランと鳴った。





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