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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


「ま、今どうこう言ったって仕方ないよな。みわの姉ちゃん、ガキの俺から見てもカンペキでカッコいい人だったよなー」

「そう、だったんだ?」

「そうそう、なんでも出来たってカンジ。絵を描きゃなんか賞状貰ってくるし、テストはいつも花マル満点だし、リレーの選手もしてたし。おばさん達も自慢の娘って感じだったよ」

私の家族の事を言われているのに、どこか、他の家庭の事を言われているみたいだ。

「対してみわはドジっ子でさー、池がありゃ落ちるし、木がありゃ登って落ちるし、男みたいだったよな」

「……」

小学校……彼の話からして低学年の自分、本当に何やっていたんだろう……。

「ま、でも人間さ、完璧じゃないものに惹かれるんだと思うよ」

完璧じゃないものに、惹かれる。
なんかとてもシンプルな言葉なのに、物凄い説得力がある。

「スペインのあの有名な建築だってさ、未完成だからこそ価値があるって部分もあると思うぜ」

いつだったか、涼太が一緒に行きたいって言ってくれてたな。
未完成の内に一度見に行って、完成したらまた行きたいって。

「だから俺も、姉ちゃんよりみわの事が好きだったのかも。姉ちゃんは憧れたけどな」

「んぐっ」

再び、カフェラテが変な所に入りそうになった。

「みわはさ、海常でどんな事やってたの」

「あ、私はマネージャーとして……」

突然バスケの話題を振られて、頭が切り替わった。
今、自分が打ち込まなくてはならない世界の事を思い出せて、良かった……。

頭の片隅に家族の事は置いておいて、今は自分のやるべき事を。

思い出せない記憶を探るよりも、目の前のひとたちの事を覚える方が先決だ。

まだ、頂いた資料は8割程度しか頭に入っていない。

そう言えば……閑田選手はどうして私が海常バスケ部のマネージャーをやっていた事を知ってるんだろう?
マクセさんに聞いたのかな?



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