第24章 引越し
「じゃあ今のうちに、さっきの続き、するっスか?」
ふざけてそういうと、益々赤くなる。
いやまあ、半分以上は本気っスけど。
「……きょ、今日は帰る……」
「ん、送っていくっスよ」
残念だけど、みわっちの気持ちをソンチョーするっス。
皆が帰った後の誰もいない部屋に戻った時の気持ちを思い出す。
みわっちがいなくなったらオレ、どうなるんだろう。
怖くて、考えられない。
今まで、望むものはなんでも手に入った。
なんでも出来た。
大事なものが出来るという事は、その分大きな弱点を作っているのではないか。
何が正しいのか、どうしたらいいかなんて、オトナじゃないオレには分からない。
今やりたい事、オレがやらなきゃならない事を必死でやるだけだ。
インターハイだって、オレがもっと早くから真面目に練習に出ていれば。
オレがもっと強ければ。
悔やむ事ばかりだ。
二度とあんな思いをしないよう、センパイ達やみわっちや皆にさせないよう、エースのオレがやらなくちゃ。
オレが。
……練習する時間が削られるのを防ぐために勉強も頑張らないとっス……ね……。