• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


「みわ、喉渇いてない?」

「うん、貰ったお茶飲んでるから、大丈夫。涼太も飲む? 開けようか」

「ん、サンキュー」

ドリンクホルダーに立ててあったペットボトルを持ちあげて、フタを開けた。
涼太の好きなミネラルウォーターだ。
丁度信号が赤になったのを見計らって、手渡した。

「ほらね、これと一緒っスよね」

「これと……?」

「みわ、ここ触ったら気持ちイイ? 次はどうしたい? オレに何して欲しい? って、そういうのの繰り返しだと思うんスよ。喉渇いたからペットボトル取ってっていうのと、一緒。セックスだって、コミュニケーションだから」

セックスは、コミュニケーション……。

ずっと、私の中で性行為は恐怖の対象だった。
恐怖の対象で、女性という受け入れる性である以上、我慢して耐え抜く行為。
それだけだった。

「相手の事知りたいからさ、会話するのと一緒だなって……はは、こんなの都合いいコトっスかね?」

「ううん、分かる。分かるよ」

このひとの事、知りたい。
一緒に過ごすごとに、言葉を交わすごとに、身体を重ねるごとに、近くなっていく。
それって、当たり前のようで、実はすごくすごくキセキ的なこと。

このひとと巡り会えた事が、どれだけのキセキなのか……分かっているようで、分かっていないのかもしれない。

友達も、恋人も。
全部、偶然で繋がってるんだ。
今までの人生の中のピースがひとつでも違っていたら、交わっていなかった縁。

「まあ、最中は頭に血が上って……予定外のこともあるかもしんないっスけど」

「う、うん」

うん、説明出来ることばかりじゃない。
感情って、そういうものだ。
全部、涼太に教えて貰った事。

「だからさ、みわもガマンしないで。前に言った事と一緒っスよ、ワガママになって欲しい」

……涼太は私に甘すぎるんだって。
私、我儘ばかりぶつけてるよ。
涼太をこころの拠り所にしてしまっているよ。


/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp