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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


慌てて、口を噤んだ。
頭おかしい。何言ってるの、私は。

今、涼太は心配してくれた。
運転も、優しくなった。
当たり前だ。私が酔ったとか言うから。

苦し紛れに、なんて嘘ついたの……最低。
涼太の優しさにつけ込もうとした、絶対にやっちゃいけない行為だ。

「ごめんなさい、酔ったなんて嘘……。あの、もう大丈夫だから」

涼太は、ハンドルの上で腕組みをして、交差した部分に額を当てて……何、考えてるの?

こんな見え見えの嘘、怒ってる?
その体勢のまま顔をこっちに向けて……何故か彼は微笑んだ。

「えーっと……気分は悪くない、ってコトっスね?」

「う、はい……」

涼太はそれを聞いて、大きなため息をつく……と思いきや、肩を震わせて笑い出した。

「ぷっ……はは、よくモデル仲間とか大学のOGのオネーサンからもされたっスわ、"リョータ君、酔っ払っちゃった〜、送って〜"ってヤツ」

顔から火が噴き出すかと思った。
ううん、頭頂部から多分ちょっと噴き出したと思う。

なんて浅はかな事、したんだろう。
涼太が嫌いな、彼を外見でしか見ていないひと達と同じ事、した。

2分前に戻りたい。
全部、なかった事にしたい。

そんな事出来ないから、もっと考えて行動しなきゃいけないの、よく分かっているのに。

「本当に、魔が差して……反省してる、ごめんなさい」

「いやー、好きなコから言われると、こんな破壊力あんだなってビックリしてたトコっスわ」

「……はかい、りょく?」

「行くっスよ」

そう言うなり、車はまた走り出す。
え?
今の、どういう意味?

車は、高速に乗ることなく、車通りの少ない道を走り抜ける。

処理が追い付かなくて、さっきまで見えてた行き先の書かれた青い看板?標識?も、全然頭に入らなくて。

あれよあれよという間に、また車は停車した。
周りは真っ暗。
ここ、どこ?

「誘ったの、みわっスよ」

涼太が覆い被さってきた……と思ったら、シートの背もたれが後ろに下がって、仰向けに寝転がるかたちになった。

何が、起きているのでしょうか?





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