第79章 邂逅
いってえ……勃ちまくって、テント張ってる下半身。
行き場がなくなって、すげーいてえ。
あんなトコで発情するからだ、自業自得。
新しい土地で初めてのコト、みわは顔に出さないけど相当疲れてるはず。
ほっとけば無理ばっかするみわを、休ませてあげなきゃ。
会いたかったのが1番だけど、東京駅から電車で帰るとなると、かなりの時間がかかるからっていうのも、迎えに来た大きな理由。
これからみわも頻繁に大阪まで行く事になるみたいだし、毎回そんなコト言ってらんないんだけど、やっぱり慣れるまでは疲れるだろうし。
……駐車場から出て暫く道路を走っていても、会話がない。
寝ちゃったっスかね? と時々横顔を確認するけど、その度に大きな瞳と目が合った。
クリスマスの時みたいに、駐車場でキスして、怒ってるっスか?
いや、クリスマスの時はもっと先まで進んだから、キスで抑えた今日は大丈夫なはず。
そうそう、クリスマスの時は、その勢いのままワンピースの裾から……ダメだダメだ。
ボンノー退散!!
道は空いてる。
良かった、これなら長々と車内に拘束させずに済むだろう。
「涼太……ごめんなさい」
助手席から、小さな声。
前の交差点は丁度赤信号で、停車してから様子を伺うと、みわは俯いていた。
「どしたんスか?」
「……ちょっと、酔っちゃった、かも」
予想もしなかった返答に、思わずブレーキをさらに強く踏み込んだ。
そっか、だからずっと会話がなかったんだ。
「マジっスか、気持ち悪い? コンビニでトイレ借りた方がいい? それとも高速乗ってから」
「あの……少し、休みたく、て」
「ん、リョーカイ。ちょっと停まるっスわ」
高速乗る前で良かった。
ちょっと停車して、水でも買ってこよう。
重力がかからないように、いつもよりも丁寧にアクセル・ブレーキ操作をする。
道路端に車を停めると、みわは青白い顔を……して……ない?
むしろ、耳まで真っ赤だ。
あれ?
「あの、涼太ごめんね、そうじゃ、なくて……」
小さくなっていくみわを見て、ごくり、自分でも喉が鳴ったのが分かった。