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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


オレは今、東京駅にいる。

クリスマスからヤッてない、とか。
同級生に背中を押されて、とか。

多分決定的な理由は何かあるんだろうけど、それが分からないまま、気が付けば車のキーを手に取ってた。

でも今、みわが目の前に来て、はっきり分かった。
会いたかった。ただ、それだけだって。

ちょっと用があって、なんて自分でも笑っちゃうくらい無理がある言い訳だ。

こんな寒い中出歩くなんて、とか怒られるかも。
練習が終わって、ちゃんとストレッチとマッサージしたのかと、叱られるかも。

「今日はさ、練習がちょっと早く終わったんスよ、そんで……」

まだ苦しい言い訳をしようとしたオレの腰に、みわの腕が巻き付いた。

「みわ?」

珍しい彼女の行動に、一瞬反応が遅れる。
だって、こんな嬉しいコト……夢、じゃない、よな?

「ごめん、突然来ちゃって。ビックリしたっスよね」

みわは、怒りもせず、理由を聞くでもなく、小さな声で呟いた。

「理由なんか、なんでもいい……会いたかった」

そのセリフが嬉しくて、じんわりと胸に沁みて、みわの身体を抱きしめ返した。

「うん……オレも、会いたくてさ」

いいんだ。
取り繕わなくて。
オレが思ってることをぶつけて、受け止めてくれる相手なんだ。

「みわ、家まで送らせて」

いつもだったら、絶対NG。
さっさと帰れと怒られるところ。
でも、今日は引けない。

なんて言われても……

「……お願い、してもいい?」

「へ」

まさかの快諾に、またちょっとあっけに取られて。
いや、拒否されても送るつもりだったんだけど、まさかこんな風に言ってくれるとは。

さっきから完全にみわのペース(でも多分彼女は自覚ナシ)。
緩んだ口元をコートで隠しながら、冷えた手を取り、地下駐車場への階段を下り始めた。






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