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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


「すっげーな、みわの彼氏、完璧じゃん。みわって芸能人かなんかと付き合ってんの?」

閑田選手は冗談で気軽に聞いたのかもしれないけれど、図星、だ。
彼はバスケットボール日本代表選手であり、モデル。
はっきり言って、芸能人なんて簡単な言葉では括れない。

……でも、他人に私との関係をホイホイ話すわけにもいかない。

「……詳しくはお答えできませんが」

「あっはっはっは! 相変わらずみわは嘘がつけないなあ! 面白い! 懐かしいな、この感じ」

彼はもはやお腹を抱えて大爆笑。

「それだけバレバレの嘘だといっそ清々しーわ。そんなイヤ? みわ、男に免疫なさそうだもんね」

やっぱり、信じて貰えるわけがなかった。

涼太は絶対そんな事しない。
どんなに突拍子の無い事を言っても、まず最初に私を疑うって事は、しない。

閑田選手とのこの会話、正直物凄く困ってはいるのだけれど……こころの中の涼太の存在の大きさを再確認してる。

会いたい。
会いたい、な。

とにかく今は、この会話を終わらせたい。
新幹線の時間だって迫ってる。

「丁度俺、彼女と別れたばっかなんだ。これって運命だろ。縁は大事にしなきゃって、みわの親父さんも言ってたし」

突然現れたその単語に、時が……止まった。

「お父、さん……?」

「親父さん、元気してる? カッコ良くて、好きだったなーみわの親父さん」

目の前がチカチカする。
このひと、私のお父さんを……

「私のお父さんを、知っているんですか?」

「ん? 何言ってんの、よく家族ぐるみで行ったじゃん、バーベキューとかさ」

バーベキュー、その単語に何故か頭の奥がキリリと痛む。
目の前を飛び交うフラッシュのような明かりが、増えていく。

「私のお父さん、ってどんなひとでしたか?」

「は? みわ、何言って……」

「どんな……どんな家族でしたか?」

「どうしたの、みわ」

「お願いします、なんでもいい、教えてください」

さっきからこころが揺れて揺れて揺れて

あたまが いたい。


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