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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


「言ってたんだよ。みわは秀ちゃんが大好き。秀ちゃんと結婚するんだーって」

脳が停止してしまったかもしれない。
開いた口が塞がらないって、本来の意味とは違うんだけど、でも今の私の状態を表す言葉だ。

「なんだ、真に受けた俺がバカだったのかー」

なんて返せばいいの?

「俺、マジで傷ついたわ……」

そうだ、傷つけてしまったに違いない。
私だって、忘れたなんて言われたら、きっと傷つく。

「申し訳、ありません……」

今は、謝るしか出来ない。

記憶が今後戻る可能性があるのか、それは断片的なのか全てなのか、それとももう一生戻らないのか、私にも分からない事だから。

でもとにかく、彼を傷つけたのは事実。
それは誠心誠意、謝らないと。

「みわ、今彼氏いんの?」

「え?」

傷ついたという話から、どこへ飛躍してしまったのか。

苦手だ、この感じ、苦手。
どこからボールが飛んでくるのか分からない不安感。

「いないならさ、俺と付き合わね?」

それは、きっと彼がどんなボールを持っているのか分からないから。
どうやって投げてくるのか、皆目見当もつかないから。

「みわ、すっげキレイになったからさ、見惚れちった」

どこまでが本気で、どこまでが嘘か分からない。

「すみません、私」

「あのさ、敬語やめようって。タメなんだし」

涼太と話している時も、彼のペースになる事って結構多いけど、その感覚とは全く違う。

優しいように感じて、時々高圧的というか、有無を言わさぬという空気がある。

それが凄く、苦手。
ひとに対して、そんな風に思いたくないのに。

「付き合おうよ。俺と一緒にいたら、思い出すかもしんないよ」

だからこそ、中途半端にしちゃいけない。
冗談で言っているだけかもしれないけど、曖昧にしちゃいけない。

「申し訳ありません。私、お付き合いしている方がいます」

私が好きなのは、涼太だけだから。




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