第24章 引越し
「いやお前また広い部屋だなあ……」
小堀先輩が見渡しながら言う。
「黄瀬の癖にナマイキだな」
笠松先輩は相変わらず。
「お前らもう一緒に暮らしちゃえよ!」
森山先輩はふざけながらも小堀先輩と一緒に家中探索をしてる。
「こ(れ)な(ら)、こ(れ)か(ら)黄瀬んちでミーティング出来(る)っすね!」
「あ、先輩、何にします?」
早川先輩と中村先輩は持ってきた袋から皆の飲み物を取り出している。
いつも通りの、皆だ。
「センパイたち……なんでオレが引っ越したこと知ってるんスか!」
あ、黄瀬くんもいつもの黄瀬くんだ。
「オマエが合宿前に"引越したから、合宿終わったら遊びに来て下さいっス☆"って言ってたんだろーがっ!」
「イタッ! 蹴らないで欲しいっス!」
「さっきメールしたんだけどごめん、見てないことを想定してなかった。つい」
「あ、見てなかったっス」
「見ろよ! オマエ!」
「理不尽!」
いつもの笠松先輩の蹴りに、笑顔の涼太で笑いに包まれる。
正直、残念だけど少しだけ安心する。
男の顔をした黄瀬くんは凄く魅力的だけど、あれでずっとこられると、心臓がもたない。
「もーセンパイ、今ちょういいとこだったんスよ〜! コイビトの時間、邪魔しちゃダメっスよ! ね、森山センパイ?」
「リア充爆発しろ」
「ひどい!」
「出直した方が良さそうかな?」
「小堀センパイマジ天使っス! せっかく皆来てくれたんで、ゆっくりしてって下さい!」
私はそんな皆の様子を、お皿を片付けながら見守っている。
黄瀬くんが申し訳なさそうな顔でこちらに向かってきて、小さな声で言った。
「ごめんねみわっち」
「ううん、折角来てくれたんだし!」
「黄瀬、神崎、何食う?」
「オレたちもうメシ食っちゃったんスよ!」
「まあ、テキトーにつまめるモンしか買ってきてないからな、腹減ってねーならそれはそれでいーや」
「お、黄瀬これゲームどうしたんだよ」
「あ、それ事務所の忘年会のビンゴで当たったんスよ! 皆でやります? サバイバルゲームっぽいのあるっスよ!」
こうして、男の子達は皆でゲームをし始めた。
最初は私も見ていたのだけれど、段々と眠くなってきてしまって……。
向こうで座っていれば目が覚めるかな……。