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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第24章 引越し


静かな室内。

いつもなら他愛ない会話が出来るのに、今日は上手く話せない。

「……て、テレビつけようか」

焦ってテレビのリモコンを手に取ろうとテーブルに手を伸ばすと、黄瀬くんの手が静かに重なった。

「……え? な、なに?」

「何ってことはないんじゃないスか。オレたち、コイビト同士なんだし」

腕を引き寄せられ、優しく抱き締められる。

ずるい。もっと強引にされたなら、勢いで抵抗出来るのに。
ご飯食べるだけって、言ったじゃない。

でも私、期待している。身体が疼く。

「みわっち、キスしていい?」

その低くて官能的な声に、全身が痺れる。

黄瀬くんの胸に顔をうずめたまま、ほんの少しだけ小さく頷いた。
気付いてくれたかな。

黄瀬くんが、顔を覗き込んでくる。
今の私、またきっと真っ赤だ。

いつも何かと口数の多い黄瀬くんだけど、今日は何も言わず口付けを始めた。

気持ちいい。

「ぅん……っ……」

柔らかいキスも、激しいキスも、意識が吹っ飛びそうになるくらい、気持ちいい。

この快感に抗って目を開けることは出来なかったし、もう開ける気もなかった。
目を閉じていても分かる、黄瀬くんの息遣いとカラダの熱。

今は何も考えず、これだけを感じていたい。

「……みわっち……ベッド、行く?」

気づけば既にソファに押し倒されていて。

もっと。
もっと気持ちよくなりたいよ。
一緒に。

どんどん貪欲になる自分が怖い。
今度は真っ直ぐ目を合わせ、頷いた。

黄瀬くんは嬉しそうに優しく微笑み、私を抱きかかえようとする。

「ま、待って……足、重いもの持っちゃだめ。自分で、歩けるから……」

「軽いしゼンゼン問題ないんスけど」

「だめ……一緒に歩いて、いこ?」

先ほどのキスで既に足にきてしまっていたけれど、なんとか腕を組んで一緒に歩き出した。

「ごめんね。帰してあげられなくて。ふたりきりでいたら、我慢出来なくて」

「ふふ、先が思いやられるね……」

リビングから出ようとしたその時。

ピンポーン♪
と、軽快な電子音が鳴り響いた。

「今日は居留守っス」

小さなディスプレイに、来客の姿が映る。

「……え?」

そこには、見知った顔が5つあった。
先輩方だった。

「きーせっ♪ 引越し祝いやるぞ〜♪」

森山先輩の楽しそうな声が、響いた。

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