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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第79章 邂逅


結局その日は夜遅くまで関係者間の飲み会に参加して、駅前のシティホテルに戻れたのは日が変わる直前だった。

大人って、大変なんだな……。

私はお酒が飲めないから注いで回っただけだけど、マクセさんはどんどん飲まされて大変そうだった。

部屋も隣だし、ちゃんとドアを閉めるところまで見送ったから、多分大丈夫な筈……。

カーテンを開けて外の景色が目に入ってくると、ひとりでにため息が漏れた。

寝るためだけに作られたようなこの部屋は、ベッドと小さなテーブルがあるのみ。

テーブルに置いてあったバッグを開けて、お風呂の準備を始める。

涼太に連絡、出来なかったな……。
スマートフォンを取り出してメッセージアプリをチェックすると、涼太からメッセージが来ていた。

お疲れ様、今日はゆっくり寝るんスよーって、目の前にあるのはただの文字なのに、彼の優しい声で脳内再生されるから不思議だ。

画面に表示されるアイコンすら愛しい。
そっと撫でて、画面を閉じた。

きっと今お返事したら、寝ている涼太を起こしてしまうだろう。
もし寝ていないとしても、気を遣わせちゃうから。

狭いユニットバスにお湯を張って、固まった身体を沈めた。

今日は挨拶と食事しかしていない筈なのに、緊張していたからか身体が凝り固まっている。
ゆっくり肩や腰を揉みながら、今日1日起こった事を反芻していた。

流石、全国制覇を狙っているだけあって、バランスの良いチームだ。

少し高さが足りない部分があるのと……欲を言えば、センターの選手の軽さが気になるところ。
もう少しウエイトトレーニングに重点を置いて、安定を図った方がいいかもしれない。

そんな事を考えながら、思い出した。
閑田選手のあれは、なんだったんだろう。

やっぱりどう考えても、記憶にない。
そもそも彼は、大学からバスケを始めたんだ。
接点を持とうにも、持てないし……。

明日、正直にお話してみよう。



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