第79章 邂逅
新大阪駅に着くなり、すぐに移動を開始した。
市営地下鉄に乗るはずなのに、なぜかホームは地上で……不思議がっていたら、マクセさんに笑われてしまった。
東京に住んでても、都心の電車に乗る事って殆どないし、修学旅行や遠征以外でこうして知らない土地に来る事ってないから……私、世間知らずで恥ずかしい。
色んな事を知ってる大人になりたいな。
約30分ほどをかけて電車移動して、駅から徒歩20分ほどでK大に到着。
立派な体育館から聞こえてくるのは、聞き慣れたバッシュのスキール音とドリブルの音。
緊張が、少しだけ和らいだ気がする。
着くなりすぐに監督やスタッフの方々への挨拶回りに奔走し、実際に練習風景を見れるくらいまで落ち着いたのは、日も落ち始めた時間だった。
私は、あくまで補佐だ。
選手達を集め、マクセさんが自己紹介をする。
私は名前と補佐である旨を簡単に説明され、その場は解散となった。
練習に戻る選手達の中に……いた。
閑田選手だ。
先程の集合の際には、欠伸を噛み殺しているような表情だったけれど……ボールに触れる彼は、とても楽しそうだ。
良かった。
他の選手を馬鹿にした発言……とか、モチベーションの維持……とか心配な点はあったけれど、ちゃんとバスケットボールが好き、なんだ。
「神崎」
「あ、ハイ!」
マクセさんに呼ばれ、監督とコーチの元へ向かう。
土日の予定を再確認し、再びコートへ戻った。
もう全体練習は終了し、数人が居残り練習をしている状態だった。
「今日は挨拶がメインだからね」
「はい」
「明日は新幹線に乗るギリギリの時間まで練習に参加する。そんなガッカリした顔しないでくれよ」
「え……っ、ガッカリなんて、そんな!」
練習をゆっくり見られなかったのを確かに少し残念に思っていたけれど……そんなに顔に出ていた!?
涼太にも、私は自分で思っているより顔に出やすいタイプって言われた……ちょっと意識しなきゃ。
動揺を隠せずにいると、正面からこちらに向かってくるのは……閑田選手。
軽く会釈すると、返ってきたのは……
「みわ、だよね?」
思いもしない発言で。