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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第78章 交錯


「詳しくはね、まだ聞いてないの。今度ちゃんとゆっくり話そうって言ってたんだ」

「そうなんスか……桃っち、迷ってんのかな」

「うーん……迷ってはいないんじゃないのかな。ただ、色んな事の調整とかが必要になるんだと思う。流石に、休学って簡単に選べる道じゃないよね」

「なんで迷ってないって分かるんスか?」

「あんまり根拠はないんだけど……この間電話で話した時、迷ってる感じはなかったから」

少しの変化でも感じ取れるみわがそう言うのだから、きっとそうなんだろう。

「すごいっスね……迷わないなんて」

自分の道を選ばずに、相手についていく。
そんな事、オレに出来るかな。
自分を犠牲にしてチームの為に働くというのとは、また別次元の話だ。

「私は、さつきちゃんの気持ち、なんとなく分かるなぁ」

「え?」

「ううん、なんでもないよ」

桃っちの気持ちが分かる……って、そう言った?
それって、どういう意味?
オレが海外に行く事に決めたら、みわはついてきてくれるってコト?

みわも、オレとの未来を考えてくれてる?
オレが思ってるよりもずっと先の未来まで。
その時のみわは、名字がちゃんと変わってるっスか?

やばい、頬が緩む。

チラリとみわに目線を送ると、みわは少し、ほんの少しだけ眉を顰めた。
それと同時に、僅かに前かがみになる身体。
お腹、イタイんだろうか。

マジで、このコーヒー飲んだらすぐ帰ろう。
どう見てもやせ我慢してる。

「……涼太、私ね、来週の土日、大阪に行くんだ」

「そっか、来週なんスね」

オレも、遠征だ合宿だとバスケ漬けの日々だ。
ホワイトデーも会えねえし……。

「ちょっと、暫く会えなくなっちゃうね。ごめんね。涼太も練習、頑張って」

「みわこそ、慣れない場所に行くんスから、気を付けるんスよ。
知らないヒトについていっちゃダメっスよ」

「ふふ、前にも言われたよね。子どもみたい」

真っ白な顔でころころと笑う姿は、いつにもまして儚げだった。

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