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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第78章 交錯


「あ、きーちゃん久しぶり! 送ってくれたんだね」

「久しぶりっスね、桃っち」

どう見てもお風呂上がりの桃っち。
薄い水色でもこもこ素材のルームウェアを着て、頭には同じ色のタオルが巻かれてる。

……これ、多分青峰っちが来るからこのカッコにしてるんだよな。
オレは、そこまで女の子に幻想を抱いてない。

皆、家にいる時くらいくつろぎたいハズ。
青峰っちが来なければ、もっとユルい格好をしてるハズだ。
……横に立っている男がどこまで気付いてるかは知らないっスけど。

「じゃーな。サンキュ」

青峰っちはそれだけ言うと、さっさと部屋の中に入って行ってしまった。

「あのー、桃っち? これ、どゆことっスか?」

「どういう事って……」

「青峰っちと一緒に暮らしてんの?」

というより、どう見てもそうなんだけど……桃っちは、ビックリする位真っ赤に頬を染めた。

「違うよ! 大ちゃんとはそういうんじゃないから……!」

さっきの青峰っちと全く同じ言い分だ。
だからふたりとも、そういうんじゃないって、じゃあなんなんスか!

「また、ゆっくり話すね。みわちゃんとも会いたいし……」

桃っちから、ちょっと困ってるオーラ。
早く退散した方が良さそうではあるんだけど……。

「……分かったっス。なんかあったらすぐ相談するんスよ」

「うん、ありがとう、きーちゃん」

ふんわりと微笑んで、桃っちは玄関のドアを閉めた。
金属製の扉が閉まる鈍い音が、もうこれ以上踏み込まないでと言っているようで。

いや、別にいーんスよ。
ふたりがいいなら。
……いやでもやっぱ気になるけど。

みわは何か知ってんのかな。

……みわ、体調悪いみたいだからちょっと顔出していくかな。
ここからなら1時間もしないで行けるハズ。
寝込んでるのにいきなり押しかけるのも悪いし、連絡しとくか。

車に戻って、スマートフォンを立ち上げる。
メッセージにしようか電話にしようか少し迷って、受話器のボタンをタップした。



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