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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第78章 交錯


昼と夜だと、同じ街並みでも全く違って見える。

きっとこれって、何にでも言える事なんだろう。
同じものを見てても、今の状況だったり、精神状態だったりで異なって見えるものだ。

目に見えるものだけに、惑わされるな。


車をゆっくり停止させて、後部座席に目線を送る。

「青峰っちー」

青峰っちはまだのんびりと寝ている。
暗い後部座席だと、人より色が黒い彼はちょっと見辛い……とか言ったらまた怒られるか。

「青峰っち、着いたっスよ」

軽く呼んでも起きないから、仕方なくシートベルトを外して振り向く。

「青峰っちー!」

「……あんだよ」

「着いたっスよ、実家!」

数年前に建て直したばかりだという青峰家。
2階の窓には電気は点いていない。
まだ、全員寝てしまうような時間じゃない気もするけど。

「あー、ワリィ。今日こっちじゃねーわ」

「え? どっちっスか?」

こっち?
どっち?

「今日はさつきんトコだわ」

「あ、桃っちの実家に顔出すんスか? どこだっけ、桃っちんち」

「いや、アイツ今実家出てっから」

……ん?

「それ、どーいうコトっスか!?」

さっきから、青峰っちとの会話が成り立ってない。
桃っちんトコ?
桃っちはもう実家出てるって?
ってことは、一人暮らし?
いや、もしかして

「今、桃っちと同棲してんの!?」

「んなわけねーだろ」

間髪入れずに否定されたけど……
いやいやいやいや。

「だって、おかしいじゃないスか! なんでこんな夜に行く必要があるんスか、え、付き合ってんスか?」

「オメーちょっと落ち着けよ」

「落ち着けないって! え、付き合ってるならなんで隠すんスか?」

「だからさつきとはそういうんじゃねーって」

「ワケ分かんないっス!!」

青峰っちは頭を掻きながらウルセーなと言って、一旦車を降りて助手席に乗り込んで来た。

そして、そのまま何事もなかったかのように、道案内を始めた。

……納得いかねーんスけど!?

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