第78章 交錯
全日本……みわとの未来……今年のインカレ制覇に向けて。
考えなきゃならない事も、やらなきゃならない事も山ほどある。
これから先は、ひたすら責任だけが増えていって、どんどんと自由がなくなるんだろう。
好き勝手やっていられるのは、きっと今だけ。
でも、それも悪くない。
大事なものが増えていくのは嬉しい。
自分以外のヒトを大切に出来る自分も、嫌いじゃない。
それに、自由がなくなって、色んなものでがんじがらめになるからこそ分かる、ヒトとの縁の大切さ。
一度繋がった縁は、切れない。
見えなくなる事もあるかもしんないけど、切れることはないんだ。
全部全部、繋がっている。
「……で、青峰っちはもう寝てるんスか」
後部座席から聞こえるのは、ひっくいイビキ。
ついさっきまで会話してたのに、あっという間に夢の中へ行ってしまったらしい。
相変わらずマイペースすぎんでしょ!
火神っちに助手席に乗って貰って良かった。
ま、行き先はナビが教えてくれるからいいんだけど、やっぱり話し相手が欲しいっつか。
青峰っちも火神っちも、服の上からでも分かる。
筋肉のつき方が、高校時代のそれとは全くレベルの違うものになっている。
顔つきも……別人と言ってもおかしくないほどだ。
時の経過が、見た目で分かる……んだけど。
昔よりも何倍も成長しているんだろうという事が、見るからにそうなんだけど。
このヒト達、中身はやっぱり全然変わってない。
結局、インタビュー会場に着いても青峰っちは寝ぼけテンション。
寝ぼけてなくても面倒臭がるのはおんなじだけど、インタビュアーの女性は、途中から質問を振らなくなった。
火神っちは、どちらかというと無難にこなしている。
……ように見えて時々おかしな日本語が飛び出すから、終始笑いに包まれていた。
結局午前中にインタビューと写真撮影を終えて、午後は全日本の練習へと向かった。