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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第78章 交錯


「ありがとうございます、先輩。私……甘えていました。自信が無いっていうのを言い訳にして、ちゃんとまっすぐ向き合っていませんでした。後悔の無いように、頑張ります」

目が覚めた。
グズグズと言い訳をして考えるのは、私の悪い癖。
先輩の言う通り……折角目の前に現れたチャンスをただ逃してしまっては、今まで何のために頑張ってきたのか分からない。

掴むんだ。吸収するんだ。
自分が成長するための何かを。
一滴でもいい、一粒でもいい。
見逃さないように、神経を研ぎ澄まして。

「いや、神崎も黄瀬もちょっとまっすぐ過ぎる所があるからな、たまにはよそ見もしろよとは言いたくなるが……まあ、オマエらしいか」

そう言った笠松先輩に、さっきのような硬い空気は無くて。

いつも、先を示してくれる。
本当に、偉大な先輩……。

「勉強はどうだ、うまくいってんのか」

「はい……でも、学校の勉強以外にも、学びたいことは沢山あるんです。
今回のこの件で、栄養についてもちゃんと勉強したいと思いました」

選手を支えるためにはトレーニングだけじゃない、食事だって睡眠だって、生活の全てが必要になるんだって、痛感した。

涼太を支えるため、私は何でも出来るようにならなきゃ。

「スポーツ栄養学、か……素人がちょっと勉強してどうこうなるもんか?」

「そうなんですよね……それも、ちゃんと模索しないと。やってる事に満足して、何も身にならないんじゃ意味が無いですから」

やりたい事は沢山ある。
出来るようになりたい事も沢山ある。

焦らず、ゆっくり……でも着実に。
時間、足りないな。

車は、すぐに私のマンションの前に停車した。
電車でかかる所要時間とのあまりの差に、毎回驚く。

私も、免許……取りたいな。
そうしたら、涼太に心配掛ける事も減るし。

車を買う余裕はないから……レンタカーとか?
レンタカーっていくらするんだろう。
未成年じゃ借りられないかな?

ううん、今から教習所に通っても、免許を取得出来てる頃には20歳になってるだろう。

20歳……なんだか、凄く大人になる感じだ。
想像、出来ないな。


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