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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第78章 交錯



「先輩、申し訳ありません大丈夫ですか!? 今、冷やすもの持ってきます!」

「大丈夫だけどよ、2人で何バタバタやってんだよ……」

笠松先輩の仰る通りだ。
結局涼太は私を追いかけて走って来てるし、何やってるんだろう。
どうしてこう、考えなしの行動しか出来ないんだろう、反省……。

「みわが、送ってくっつーのにいいって言うから」

「ゆっくり休んでいてって言ってるのに、こう言ってきかないんです」

私たちの主張を聞いて、笠松先輩は頭をひと掻きして……大きなため息をついた。

「オマエら本当に似たもの同士だな。分かった、じゃあ黄瀬、車貸せ」

「……へ? センパイ?」

「俺が神崎を送ってけばいいんだろ」

「えっ、笠松先輩、免許は……」

「持ってるよ」

そ、そうだったんだ。
よく涼太の車に乗るって言ってたから、てっきり先輩は免許をお持ちでないのかと……。
勝手に想像しちゃった。
って……

「い、いえ、先輩のお手間を取らせるわけにはいきません!」

「そうでもしねーと、黄瀬は折れねーだろ。黄瀬、オマエは文句あんのか」

「いや、文句とかじゃないんス、けど……」

「んじゃ決まりな」

「えっ、えっ、えっ」

笠松先輩は、下駄箱の上に置いてあった涼太の車のキーを持って出て行ってしまった。
その手慣れた感じから、笠松先輩があの車を運転するのは初めてじゃないんだなって事に気付く。

……でも、先輩の言う通り。
涼太は絶対折れないだろう。
今一番大事にしなきゃいけないのは、涼太の身体だ。

「……あの、涼太、今日は先輩に送って貰うね。ゆっくり休んでね」

「センパイは安全運転だし、そこは心配してないっスけど……」

涼太はゆっくりと距離を縮めてきて……その大きな胸に、閉じ込められた。

「ごめん、みわ」

「気にしないで、涼太。今は元気になる事だけ、考えて……」

ゆっくりと、唇が重なった。
重ねるだけの優しいキスが、何故かこれからの会えない時間を生々しく連想させてしまって……また、泣きたくなった。


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