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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第78章 交錯


「っ、は……」

熱い熱いキスの合間、一瞬出来た隙。
涼太の胸に、顔をうずめた。
もう、これ以上は本当にだめ。
理性が全て溶けてしまう前に、離れなきゃ。

とくん、とくん、とくん
薄い部屋着越しに感じる涼太の鼓動……いつものそれよりもずっと速い。
合わせて大きく上下する肩に、彼のスイッチも入りかけているのが分かる。

「あの、本当にもう……今日は、帰るね」

顔を見ないまま、言った。
見ない、というよりも、見れなくて。

「じゃあ車で送って行くっスわ」

「だめ。涼太は寝てて」

「無理。じゃあ電車でみわんちまで送ってく」

「そうじゃなくて……!」

「ちゃんと食事して、寝て、回復したって。なんなら証明して見せようか?」

「証明? どうやって……」

背中を撫でられたその手の動きで、涼太が何をしようとしているのかを悟る。
一瞬で背筋を走り抜ける淫らな妄想と甘い快感。

「だっ、だめだってば!」

ありったけの力で涼太を押し返し、立ち上がった。
ふらつく足を制御しながら、荷物と上着を取って、玄関へ向かって走る。

「みわ!」

「本当に! 本当にひとりで帰れるから! 大丈夫だから! 帰ったら連絡するね!」

これ以上涼太と居たら、絶対にダメな方向にいってしまう気がする。

「待てって! みわ!」

慌てて靴を履いて、涼太が追いつく前に玄関を出ようと、慌ててドアを開け放っ……

……たつもりが、バンという音と共に、ドアは何か固いものにぶつかって、止まった。

「!?」

「いって……」

ドアの向こう側から聞こえた、低い中にも柔らかさがあるその、声は。

「かっ、笠松先輩!?」

「センパイ! どうしたんスか!?」

「どうしたもこうしたもねえだろ。オマエの様子を見に来たんだよ」

年齢の割に幼いその顔のてっぺん……おでこが赤くなっている。
物凄い勢いでドアを開けたせいだ。


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