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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第78章 交錯


「うん、ありがとう……」

違う。

この聞き方はずるい。
大事な事を隠して、都合のいい所だけを聞き出してるに過ぎない。
こんな、騙すような事をしたいんじゃないのに。

「どんな事するのかはオレにも分かんないけど、きっと実際の現場で得るものは多いと思うし」

涼太だって、マクセさんの以前の一件で、きっと引っかかってる部分もあるはず。
それなのに、こうやってちゃんと私の事を考えていてくれて。

「そう……だね」

「みわ? どうしたんスか? 何か迷ってるの?」

ちゃんと、言わなきゃ。

「あの、場所……がね」

「うん」

「大阪、なの」

……時が、止まった。
きっと、涼太の中で今、単語と地図を結び付けてるんだろう。
思いもしない場所だっただろうから。

「大阪? これまた随分遠いっスね。どこかの施設とかの手伝いってこと?」

「ううん、ごめんなさい、最初に言うべきだったんだけど……」

もう、自分でもイライラするほど歯切れが悪い言い方しか出来ない。

「涼太が昨日言ってた、大阪の……学校、なの」


今度は、さっきよりもずっと長い時間、言葉がなくって。
私も、フォローするような言葉が出てこない。
というか、フォローしようがないんだ。

「……マジで?」

ようやく、やっとそれだけ返せたという事がよく分かる。
涼太も、なんて反応したらいいのか分からない顔だ。

「ごめんなさい。こんな事、悩んで……」

本人には絶対聞くまいと思っていたのに、結局こうして何も決まらないまま相談する事になってしまって。
でも、自分でももうどうしたいのか、どうすればいいのか行き詰まってしまって。

「そっか……学校とかはどうするんスか?」

「あの、まだ詳しくは聞いてないんだけど、もしやる事に決まったら、とりあえず暫くは月に何度か、休みの日に向こうに行く予定になってて。大会が近くなったら、頻繁に行く事になるみたい、で」


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