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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第78章 交錯


それから、遅めの昼食というか、早めの夕食というか、なんとも中途半端な時間に食事をとった。

涼太は、もう元気になったから普段通り食べられるなんて言い出し始めて。
さすがにまだそれは無茶だと思ったのだけれど、結局普段とさして変わらない量をたいらげてしまった。
凄い回復力。

食後暫くしてから、甘いモンが欲しいなと言う涼太に、小さなマグカップでホットチョコレートを作った。
……作った、と言うよりも、昨日スーパーで買った、棒付きのチョコレートをホットミルクの中で溶かすという簡単なものなんだけれど。

店舗入り口すぐに大々的に開催されていたバレンタインフェア。
もしかしたら飲めるようになるかもしれないと、買っておいて良かった。

「あ、意外と甘さ控えめなんスね。飲みやすい」

「甘過ぎないやつを選んだの、正解だったかな」

「ん、ウマイっス」

「……」


ふっと訪れる、会話のない時間。
他のひととなら、何を話せばいいか気を遣ってしまう空白の時間が、涼太とだと何故かどことなく心地良い。

でも、今日は話さないといけないんだ。

「あの、……涼太」

「ん?」

「あの、ね。スポーツトレーナーの、補佐として……手伝わないかって、お話を頂いているの」

「そうなんスか? 誰から?」

「……マクセ、さん」

「……ふーん、アイツっスか……」

お話を下さったのがマクセさんというのも、少し言い辛かった。
以前のいざこざもあったし……。

「まあ、あのヒト顔広いみたいだし、バスケに関してはちゃんとしてるけど」

「うん、あの、ごめんなさい、気を付ける」

気を付ける、って……なんておバカな返事をしたんだろう。
どうにも、なんて返したらいいのか分からない。

でも、今問題なのはそこじゃなくて……

「涼太、どう……思う?」

「……前の一件、忘れたわけじゃねえけど……それがみわにとって大きなチャンスになるなら、みわのやりたいようにするのが一番いいと思うっスよ」


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