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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第4章 黒子くん


彼女がトイレに立つと、黒子っちが控えめな声で話しかけてくる。

「えーっと……神崎さんって、本当に彼女じゃないんですか? 呼び方からして、黄瀬君が認めている人だというのは分かりますが」

「違うっスよ〜。前に、たまたま痴漢から助けたことがあって。何、黒子っち、ああいう子がタイプっスか?」

「タイプ……というのはハッキリ分かりませんが、なんだか惹かれますね」

「えっ?」

あの黒子っちが。
意外な返事に、咄嗟に返す言葉がなかった。

「彼女は姿勢が良くて、真っ直ぐ目を見てくる。若干人間不信な感じがありますが……芯の強さを感じます。素敵です。それに、黄瀬君のこともちゃんと見ている」

それは、オレもちょっとビックリした。
彼女があんな風にオレのコト、思ってくれていたとは。

海常というチームが好きって言ってくれたのも、嬉しかった。
なんか、心がポカポカするっていうか、あんまり知らない感覚。

「……ボク、彼氏に立候補しようかと考えています」

「えっ!」

突然の黒子っちの発言に、返した返事は自分でも驚くほどのボリュームだった。

「……ビックリさせないでください、黄瀬君」

「ご、ごめん」

黒子っちなら、きっと彼女を大事にしてくれるだろう。
誠実で、優しくて、頭が良くて……安心だ。
いやいや、そもそもそんなの、オレが気にするようなことじゃないっスけど。

「神崎っち、男性恐怖症みたいなんスよ」

黒子っちなら安心……そう思ったハズなのに、まるで口が勝手に話し始めたかのような感覚。

「そうなんですか」

「でも最近、オレには結構慣れてきてるみたいで……」

何、言ってんだ。
まるで対抗してるみたいじゃないか、これじゃ。

「ボクも、2人でここまで来ましたよ。まあ、どちらにしろ、もしお付き合い出来るのなら、克服までなんとかボクが頑張ってあげたいですね」

こうなると売り言葉に買い言葉。
黒子っちも、彼らしくない強い口調だ。

「っ……」

何イライラしてるんだ、オレ。
なんだ、このモヤモヤ。



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