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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第78章 交錯


瞼が重い……。
身体も、なんか重しを付けられたみたいに重い。
ゆっくりと目を開けると、自分ちの天井が映った。

周りの明るさから、もう日が昇ってから随分と経っている事に気付く。
そうだ、みわ……

むくりと起き上がって、すぐ隣のベッドを見やったけど、そこはもぬけのカラだった。
え?

慌てて起き上がり、部屋中を見渡してもみわの姿はない。

え?
もしかして、帰っちゃった!?

テーブルの上に置き手紙の類はない。
靴を見に行こうと玄関へ急いだ。

短い玄関への廊下を駆け抜けようとして……手前のドアが少し開いている事に気が付く。
自分でもビックリするくらいの勢いで、洗面所へ飛び込んだ。

「あ、涼太おはよう。タオル、借りてるね」

フェイスタオルを両手で持ち、顔をぽんぽんと押さえる姿。
顔を洗っていたらしい。

「なんだ……ビックリしたっスわ……」

なんだか力が抜けて、その場にペタリと座り込んだ。

「どうしたの? ごめんね、なんか驚かせちゃった?」

「いや、なんでもないっス、こっちの話……」

どっちの話だよ、とツッコミを入れて立ち上がり、ついでに並んで歯を磨いていった。
みわは、先に歯磨きを終えて、オレを見ながらなんだかニコニコしている。

「なんか、歯磨きしてる姿って新鮮だよね。普段のどの顔とも違う感じ」

なんて、珍しい事を言うもんだから歯磨き粉を飲み込みかけた。

「ナニ!? なんで朝から誘惑するんスか!?」

「ゆっ、誘惑!? してないよ!」

みわは顔を真っ赤にして、走って行ってしまった。
もーホント、みわの全部がツボ。


部屋に戻ると、食べ物のいいニオイが。

「まだ、普通食に戻すのは早いよね……?」

たまご粥? それに、豆腐のあんかけみたいなもの。

「食欲あるようならもう少し作るけど、どうかな」

「みわ、いつ起きたんスか?」

オレが寝てる間に、作ってくれてたのか。
腹減って起きたらすぐに食べれるようにって。

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