第78章 交錯
みわがお茶を淹れてくれて、オレはベッドで、みわはベッドサイドに寄りかかって近況を話していた。
「食事はどうしてるの? いつも」
「あー……最近は忙しくてさ、ついコンビニ。最初はまとめて料理して冷凍してたんスけど、それも面倒臭くなっちゃって」
以前は、少し練習が早く終わった日なんかに食材を買いこんで、簡単な料理をして全部冷凍してた。
帰って来たらチンするだけですぐ食べられるし、一番ラクだったんだけど……その内、疲れて帰ってくるようになると、料理する気力が湧かなくなって。
でもあんな風に栄養失調みたいなコト言われちゃったら、面倒でもバランスの良い食事をするしかあるまい。
スポーツマンとしてもモデルとしてもまず体調管理が第一なのは分かっていたのに。
ううーん、でもこれからシーズンが始まったら、今まで以上に忙しくなるのは目に見えてる。
一体どうしたら……。
「私、お手伝いしようか?」
「え……お手伝い?」
「まとめて作って冷凍、が楽なら、作るのお手伝いするよ」
「マジで」
思わず物凄い勢いで身体を起こし、みわの両手をガッシと握った。
だって、それってみわの手料理が毎日食べられるってコトっスよね?
「うん、私に出来る事ならなんでもするよ」
「マジっスか、お願いしたい! みわの協力があれば、全国制覇だってナンノソノ、っスわ!」
「……ええー、それは大袈裟だよう」
……一瞬、ほんの一瞬間があったような?
気のせいっスかね?
「何作ろうかな……栄養があって、美味しくて、飽きない……」
みわは、ウンウンと考え込み、それからまたお買い物に行ってしまった。
今度こそオレの財布を持って行かせた。
うう、嬉しすぎる……さっきから顔がユルユルだ。