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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第78章 交錯


「……瀬、黄瀬!」

耳の奥の方から声が聞こえる気がする。
この声。聞き慣れた声だ。

「か……さまつ、せんぱ」

ハッキリと発音した筈なのに、うわごとのような声が漏れた事に、自分で驚いた。

オレ、寝てた?
ゆっくりとまぶたを上げると、視界がユラユラと揺れていて、酔いそうだ。

「オイ黄瀬、どうした! 今救急車呼ぶから待ってろ」

え?
救急車?

「ま、待ってください、大丈夫っス」

不穏な単語に驚いて、自分は大丈夫なのだと主張しようと身体を起こそうとして……失敗した。
ゴロリと床の上を転がる。更に視界が回って吐きそうだ。

そうだ、オレ、あのまま倒れたのか。
意識がなくなる前に笠松センパイに咄嗟に電話したんだ。
センパイはジャージの上にウインドブレーカーを羽織った姿。
慌てて駆けつけてくれたというのがその格好からも窺える。

「すんませんオレ……とっさに電話しちゃって」

センパイは、オレのその言葉を受けて、……目を丸くした。

「電話? いや俺は神崎から電話を貰ってきたんだが」

「……へ?」

まさかのその名前。
みわ?

オレ、センパイと間違えてみわにかけた?
それを確認しようにも、手の届くところにスマホはない。

「神崎から深刻そうな電話がかかってきてよ、なんかオマエの様子がおかしい、ここから行くには時間がかかるから部屋まで見に行ってくれないかって頼まれたんだよ。んで管理人さんにカギ開けて貰った」

そりゃそうだ。
みわの所からウチまでは2時間以上かかる。
それにしても、思ったよりもオオゴトになってしまったらしい。

「大丈夫っス、ちょっと寝不足で」

みわにも心配をかけてしまった。
もう大丈夫だと連絡してあげなきゃ。

「ちょっと寝れば治るんで、今日の練習……午後から参加でもいいっスか、スミマセン」

「オマエ、何言って」
「涼太!!」


さっきから、驚いてばかりだ。
玄関の方角から聞こえた声は、まさかの。


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