第78章 交錯
……結局、夕飯はカップ焼きそばにした。
手軽さが勝ってしまった。
変なオンナを担いで、寒い中帰って来たんだ。
ただでさえ疲れてるってのに、ついてない。
インスタントで済ませたなんて知ったら、みわがまた心配するよな。
スポーツ選手にあるまじき食事だというのは分かってるけどさ。
食っただけエライと褒めて欲しい。
床に転がしてあるオンナは、グーグーとイビキをかいて寝てる。
……吐かれないだけマシか。
風呂はちゃんと入ろう。
本音を言えばもう何もしたくないし寝ちゃいたいけど……疲れを明日に残したくない。
バスタブに湯を張って、ゆっくりと浸かる。
肌が乾燥しないようにとバスソルトを入れたはいいけど、この間撮影で貰ったコレ、どうにも甘くてフローラルすぎて……女のコが纏う香りだよなぁ。
みわが来てくれた時に使お。
う、またみわのコトを思い出してしまった。
もう一種の病気だよな、これ。
みわが教えてくれた通りに、筋肉を揉んで……たけど、どうにも、怠くなってきた。
瞼が重い。
あー、これヤバイよな。
風邪引くっつか、死なないかな。
元々そんなに湯温は熱くしてないし、あっという間に水になるかも、いや、その前に自動追い焚きしてくれるか、でも既に寒いよな、でも眠すぎて動けねー……
そんなコトをグダグダと考えてるうちに、意識は泥のような眠気の中へ沈んでいった。
みわと並んで夜空の星を見上げてる夢を、見た。
ぐおんぐおん、と風呂の湯沸かし機能が動いてる、聞き慣れた音がする。
熱いお湯が流れ込んできて、冷えた身体をジワリと温めていく。
あー、気持ちいい。
風呂、サイコー……
……ふと、パチリと視界が開けた。
オレ今、寝てた?
うん、寝てたっスわ。
夢見てた。
今日はゆっくり寝よう。
やっぱり疲れが溜まってるんだ。
しっかり全身を温めてから、風呂を出た。
湯冷めしないうちにとさっさと着替えて部屋に戻ると……
全裸のオンナが寝ていた。
……は?
これ、どういう状況?