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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第78章 交錯


ブランケットや掛け布団を、転がっているセンパイ達に掛けていく。

もとよりひとり暮らしの部屋に、そんなに布団があるわけもなく。
早川センパイと中村センパイには、コートを掛けるだけになってしまった。
すんません。

あー、さむ。
ベージュで小ぶりのリモコンを操作して、暖房の設定温度を上げる。
ヒトがいるからあったかいと思ってたけど、皆寝ちゃうとあんま分かんないな。

引っ越しん時、コタツ持って来れば良かった。
みわと一緒に生活してた時に買ったコタツ。
今は、実家に置いてある。

みわと一緒にコタツ入って、のんびりしたいっスわ……。

……お祖母さん、具合どうなのか。

ちょっと電話してみるかな……と思ったけど、さあ、どこでしよう。

なんたって我が家はワンルーム。
目の前はイビキの大合唱。

仕方ない、厚手のダウンを着込んで、スマホ対応手袋に指を通して、ベランダに出た。

愛しい名前をタップすると、始まるコール音の焦らしプレイ。

普段、かけるとすぐに出てくれる……3コールして出ないって事は、取り込み中っスかね?

かけ直そうか……再び画面をタップしようとした途端、聞こえた声。

『もしもし、お待たせしてごめんね』

「ううん、こっちこそごめん。今大丈夫だったっスか?」

『あ……うん、お手洗いに行ってたの』

少し勢いがない声。
看病疲れかな。

「お祖母さん、どう?」

『うん、お薬飲んで高熱は落ち着いたみたい。後は数日ゆっくりしないと、かな……』

「そっか、なら良かったっス。みわも、ちゃんと寝なきゃダメっスよ」

『うん、ありがとう』

今日、センパイ達が来る事になってさなんて話し始めたけど、やっぱりみわは疲れてたみたいで。

「ごめんね、なんか浮かれて電話しちゃってさ。もう切るっスね」

また自分勝手にひたすら話してしまった。
うんうんって聞いてくれる優しい声が耳に心地良くて。

『あ、待って! もう、年が明けちゃう』

「へっ」

慌てて部屋の時計を覗き見たら、ちょうど0時になったところだった。

「随分長く喋っちゃったっスね。明けましておめでと、みわ。今年もよろしくね」

『こちらこそ、よろしくお願いします』

新しい一年の始まりだ。
今年は、どんな年になるのだろうか。


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