第78章 交錯
「君の瞳は、採れたての琥珀のようだ!」
「森山センパイ、それなんか違うっス! 採れたての宝石なんて、汚れまくってんじゃないスか!」
「む、そうか……難しいな……」
あれから数時間、センパイ達はかんっぜんに出来上がってる。
中村センパイは酔い潰れて寝てるし、笠松センパイと小堀センパイは、紙を広げて戦略会議をしている。
何の紙かと思ったら、来年からの卓上カレンダーの裏面だった。
おまけに1月の! これから使うのに!
早川センパイは、彼女サンを送り終えてから戻って来て、ひたすらおつまみを食べながら飲んでて。
そしてオレはというと、森山センパイに思いっきり絡まれている。
うん、カオス。
酒って怖い。
「さっさとー……結婚しろよー……」
森山センパイは突然そう言うと、体にフィットするソファクッションへと沈んでいった。
浮かび上がる気配の代わりに、聞こえて来たのは寝息。
「あの……センパイ達、一緒に年越ししに来たんじゃないんスか……」
まだ年が明けるまでには時間がある。
0時になった瞬間、一緒に盛り上がれるのは何人だろう。
仕方ない、荒れた部屋を少し片付けておこう。
美味くできた雑炊まで完食し、空になった鍋をシンクまで運ぶ。
続いて、取り皿を始めとした空いた皿を片付けて。
ついでに飲み終わった空き缶を回収しながら部屋の中を歩き回り。
……オレ、年末に何やってんだ?
酒飲めるようになったら、オレだって飲んで酔っ払ってやる!
謎の決意を胸に、皿を洗った。
……前に、酒には呑まれないと誓った記憶がありつつも。
洗った皿を水切りカゴへ立てて、ふうと息を吐き濡れた手をタオルで拭いながら後ろを振り返ると……全員寝ていた。
「マジっスか」
笠松センパイまで。
大学のバスケ部の飲み会じゃ、こんな風になるまで飲む事がないから驚いた。
やっぱり、海常の仲間は特別なんだろうか。