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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第78章 交錯


「で、ふざけてねーで、神崎はどうしたんだよ。身体壊してたりしないよな?」

「かっ、笠松センパイ、抉ってくるっスね……お祖母さんがインフルになっちゃったんスよ」

「そうか……そりゃ大変だな。俺が捻挫した時、散々世話になったから礼を言わなきゃと思ってたんだがな」

女のコが苦手な笠松センパイでも、流石に毎日一緒に過ごしたみわには抵抗感は薄いようで。

「また試合の応援に来てくれるっスよ。そん時にでも」

「ああ」

次、いつ会えるかな。
元々シーズンオフで少し余裕がある時期なのに……全日本云々でなんかバタバタしそうだ。

「で、黄瀬。お前神崎とはいつ結婚するんだよ。お前らなら学生結婚もアリかななんて思ってたんだが」

「森山センパイ、まずはご自分の心配して下さいっス……」

「心配するな、抜かりはない! 女性の気持ちが分かるようになるために、バイト先を天然石アクセサリーショップに変えた!
客の大半は美しいお姉さん達だ」

キラリッと輝くシャープな目もと。
マジで森山センパイ、話さなきゃモテると思うんスけど……。

「そ、そうスか……まああの、こっちは一応結婚も考えてるんスけど、まだ早いかなって。
オレがちゃんと経済的にも自立してからかなって」

「オマエがそんな風に謙虚に考えてるとは、意外すぎて雪が降りそうだな」

「笠松センパイ! 言い方!」

「この中で彼女持ちは黄瀬だけか……」

そう寂しそうに森山センパイが呟いたと思ったら、早川センパイのスマホが鳴った。

「あっ、すんません! もしもし、ああ。ん、大丈夫か? 迎えに行こうか。……分かった、じゃあそこに居(ろ)よ、動くなよ」

普段とはだいぶ違う、抑えた音量での会話。
早川センパイは通話を終えると、申し訳なさそうに言った。

「すみません、彼女が怪我して立往生して(る)みたいで……ちょっと、迎えに行って来てもいいですか。家まで送った(ら)、すぐ戻ってく(る)っす」

「は、早川……!」

男だらけの狭いワンルームに、森山センパイの掠れるような叫びが溶けて消えていった。




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