第77章 共栄
「今、何時くらいかな?」
「8時過ぎ。今日は昼食べたら帰るっスわ」
「そっか、そうだよね……」
"帰る"の単語がこんなに胸を痛くするとは。
やば……帰りたく、ない。
「大丈夫。次、すぐ会えるもんね」
下がった眉に気が付いているのかいないのか、みわはえへへと笑った。
彼女の首筋には、赤い痕。
首筋だけじゃない。
鎖骨から、胸から、背中から、お尻から、太ももの内側まで、全部つけた。
完全に、マーキングだ。
消えなきゃいいのに。
焼印みたいに、永遠に。
「みわさ、オレの事忘れないでよ?」
ぐっと顔を近づけると、ぽんっと頬を染めて、でもちょっと非難めいた顔で。
「忘れないよ……忘れられるわけ、ないよ」
おもむろにみわの身体に掛かっている布団をめくると、所有印がついた白い肌が露わになる。
慌てて胸元を隠そうとする腕を掴んだ。
「やっ、離して、だめ……っ」
細い手首は片手で押さえられるほど華奢だ。
右手でまとめて捕まえて、みわの頭の上で拘束する。
「みわ……さっき飲んでくれたやつさ、今、どこにあるっスかね?」
「さっ、き……?」
みわがさっき飲んだやつ……というのはコーヒーじゃなくて。
「さっきオレのを口でしてくれた時に、飲んでくれたの……分かるよね?」
何度目のセックスだったか、明け方の行為で舐めてくれた時、みわの口の中に出して、そのまま飲ませてしまった。
左手の人差し指で、なぞっていく。
唇から、顎を通って喉、胃。
「もう、ここにはないっスかね……」
「んっ、や、恥ずかし……んッ」
腹をツウとなぞると、浮き上がる腰。
そのまま、下腹部を撫でる。
「ここかな?」
本当に出したいのは口じゃなくて、子宮ん中だけど……身体の中まで犯してるみたいで、これも悪くない。
「や、やだ、見ないで……」
擦り合わせてる膝の奥……薄い茂みの下、どうなってるか見なくても分かる。
「あ、んッや」
そのまま指を這わせて、敏感な核を掠めながらぬめった蜜壺へと指を沈めていった。