第77章 共栄
みわを守れる自信……。
「……正直、みわはオレが守るって、言い切れない」
側に居る時は、いい。
でも、これからオレたちには距離が出来る。
……みわの強姦事件があったのも、オレが日本を離れてる時だった。
それがずっと、引っかかってた。
オレが近くに居ればって、後悔してる。
オレが大切にしなきゃならないものは、なんだ?
みわと離れ離れになるのに、いいのか?
ずっとずっと悩んでた。
いや、今でも悩んではいる。
何が正解か、分からなくて。
でも……
「オレにとって……オレたちにとって、バスケはやっぱり特別だから」
あの事件の時に、オレはバスケを辞める決意をした。
みわの側に居ようって。
でも、それは間違いだった。
みわの事を考えてるつもりで、全然彼女の事を分かってなかった。
「守る、っていうのがどういう事か、考えたんス」
守る、というのを、箱に閉じ込めて支配するのと履き違えてた。
でも、そうじゃない。
「うまく言えないんスけど……オレは、オレの出来るやり方でみわを守りたい。
でも、それだけじゃなく一緒に、戦っていきたい」
「……ふーん」
あきサンは、それだけ返事すると空になった皿を持って立ち上がった。
また怒らせたか。
「"オレが絶対守るっスぅ〜"とか言ったら蹴り殺そうと思ってたけど、ちゃんと考えてるみたいだから許してやるわ」
「物騒! それに、モノマネに悪意を感じるんスけど!?」
こっちを見たあきサンは、ふふっと笑って……表情を引き締めた。
「みわを泣かしたら許さないから。地獄の果てまで追いかけて、ぶち殺してやる」
その鋭い眼光を受け止めて、ああ、これも愛だなあなんて、ノンキな事を思ったわけで。
みわは、愛されてるっスね。