第77章 共栄
「あーゴメン、着てないヤツ、ないんスよ」
元々、持って来た着替えに余裕はなかった。
足りなくなったら洗えばいいし、そうじゃなければ最悪、どっかで買えばいいかなって、その程度だ。
みわが折角貸して欲しいと言ってくれたんだけど、もう残りの着替えはなかった。
んだけど……
「あの、涼太が嫌じゃなければ、着たやつでも、いいんだけど」
「……?」
どういう事っスか?
そう聞こうとして、みわの真っ赤な顔が目に入って、気が付いた。
……
「えっと……それは……オレの香りがあれば、近くにいる気がするの、ってヤツっスか?」
ちょっとからかった感じで、気軽に返事出来るようにしたつもりだったのに、みわは更に顔の色を濃く染めて、布団の中に逃げ込んでしまった。
……何この可愛い生き物。
「みわちゃーん」
「やっぱりなんでもないっ!」
もぞもぞと布団の中で逃げようとしてるらしいみわを、布団の上から抱きしめて捕まえた。
「これ、2回戦のお誘いっスね?」
「へ、へ!?」
「だってそんな可愛いコト言われたらさ」
「ち、ちが、違うっ!」
「だってみわ、さっき1回しかイッてないし?」
「回数の問題じゃなくて!」
量より質?
いやいや、どっちも譲れない。
高品質の快感を、大量に。
そしたら、やめられなくなるでしょ?
布団の中に手を突っ込むと、すべすべのみわの肌に触れる。
オレを全部包み込んでくれる、みわの身体。
……無理させちゃダメだって、みわの負担の方が大きいって……分かって、るんだけど。
「涼太っ!」
「ごめん、みわ……きっとあと10年もしたらこの性欲も落ち着いてるだろうから、許して」
撫でるように、擦るように肌に触れる。
オレのニオイが、こびりつけばいい。
誰と居ても匂うように。
そんな、マーキングみたいにして、みわを抱いた。