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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第23章 夏合宿 ー最終日ー


最終日はまとめ練習のようなもの。
ミニゲームを合間に入れたりと状況が分単位で変更になるから、臨機応変に私も動かなければならない。

しっかり部員皆のデータも残しておきたい。
少しの休憩も惜しんで、動いた。

夕方には、備品をどんどん片付けて帰りのバスに使い終わったものから載せていく作業など、雑用も増えてくる。

選手と同様に1日走り回ったので、もうヘットヘトだ。




「よし! シャワー終わった奴から帰り支度しろ! 今日はゆっくり休んで、明日は午後からまた学校の体育館で練習だ!」

笠松先輩の号令で各自が荷物を積み、バスに乗り込む。

特に席は決まっていない。
私や主将は必然的に前の方に座るようにはなっているけれど。

準備が終わった順にどんどん乗り込んでいくけれど……。
あれっ、黄瀬くんの姿が見えない。

「オイ、黄瀬どこ行った!」

笠松先輩も黄瀬くんを探してる。
2年生が焦ったように走ってきた。

「あ、なんか部屋に忘れ物をしたって言ってました……」

「時間ねーってのにアイツ、まったく」

「私、見てきます!」

走って宿の中に戻った。

黄瀬くん達の部屋を覗くと、薄暗い部屋の窓際で空を仰いでいる黄瀬くんがいた。

横顔があまりに綺麗で寂しげで、そのまま空に吸い込まれてしまうのではないかと思ってしまった。

行かないで。

「……黄瀬くん? 忘れ物、あった?」

あまり声を張らずに話しかけると、黄瀬くんが驚いたようにこちらを振り返る。

「あ、ゴメン……あったっス」

「どうしたの?」

「いやちょっと、考えごと……」

「コラ黄瀬ー! 置いてくぞ!」

遠くから笠松先輩の声。

「うわっセンパイまで! すませんっス! ごめんねみわっち、いこ!」

手を取られ、2人で走って戻る。

すぐに、いつもの黄瀬くんの表情に戻っていた。



既に全員バスに乗り込んでおり、残るは最前列の4席だったので、乗った順に座ったら……

左の窓際から小堀先輩、黄瀬くん。
通路を挟んで笠松先輩と窓際に私という席になった。

発車するや否や、車内は静まり返り、あちこちから聞こえるいびき。

(というか大多数が、私達の乗車を待っている間に寝てしまったようだけど)

思わずため息。

初めての夏合宿、大変だったな……。


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