第77章 共栄
「いいから。約束して。ほんのちっちゃなコトから、"自分のしたいコト"をして。意識して、やって。ね?」
「……うん、分かった。意識してみる」
うし、まずはこんなとこかな。
みわは真面目だから、こう約束したら、必ずちゃんと考えてくれるようになるはず。
これから先は長い。
ゆっくり、これから先の人生を共演していきたいっスね。
「でさ、みわ……」
みわの手首を掴んだまま押し倒しているこの状況、ウズウズする。
「やっぱシたくなっちゃった」
「へ……」
宿で散々ヤッたろって?
いやいや、10代の性欲甘く見ないでってば。
「だめだよっ! 明日練習なんだから……」
オレの手を振り解こうとする仕草に煽られて、もう片方の腕も拘束した。
ああサヨナラ、オレの理性。
「りょ、涼太っ」
「ダメ?」
「だ、だからだめ、だってば」
ちらりと目が合った後、みわは明後日の方向を向いてオレを見ないようにしてる。
「みわ。目、そらさないで」
耳もとでそう囁けば、真っ赤なカオの出来上がり。
外見だけが目当ての女たちがあんなにウザかったのに、好きな女には外見もちゃんと好きになって欲しいと思うし、武器になるならふんだんに使っていきたい。
ほら、みわに申し訳なくなるくらい、オレってズルい。
「みわ、欲しい」
みわと付き合うまでに、色んな女と何度もセックスした。
色んな女の身体を見た。触れた。
胸を揉んで、濡らして、突っ込んで、出し入れして、射精した。
相手の顔や声は、殆ど覚えてない。
目を瞑って抱いてたんじゃないかってくらい、殆ど。
多分当時はそれなりに覚えてたと思うけど、もう全く記憶にない。
自分の過去については色々思うトコロもあるけど、あれがあったから、今みわを気持ち良くさせてあげられてるんだと思うと、まぁいっか。
それに、あの経験があったからこそ、分かる。
自分からこんなに求める事はなかったって。
抱いて抱いてとせがむ女を退屈しのぎに抱く事はあっても、ダメと言われて食い下がるなんて、一度もなかった。
初めてなんスわ。
泣きたくなるほど愛しいなんて。