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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第77章 共栄


「涼太っ、起きてたの……!? ね、寝てるかと」

「いや、みわのマッサージ、すげー眠くなるっスけど……」

寝てしまったものと思って、気が抜けてた。
だから、あっという間に布団に押し倒されるまで、なんの抵抗も出来なかった。

琥珀色の双眸に真っ直ぐ見つめられて、金縛りにあったみたいに身動きが取れない。
彼のサラサラな髪の毛先が、目の前で右、左と踊って。
また、魔法をかけられたみたいだ。

「ね、ねえ」

咄嗟に言葉が出て来なくて、やっと出た声は自分でも分かる位に掠れてた。

それを聞いているのかいないのか、ゆっくりとどんどん距離を縮めてくる顔を直視出来なくて、思わず顔をそらす。

唇が落とされたのは……掴まれている手首だった。

「涼太……?」

「みわ、愛してる」

「え……」

いつも、行為の途中、理性が吹っ飛んだ状態で囁かれる言葉を突然優しく手渡されて、頭はパニック状態。

「あ、っ」

唇はそのまま、肘に向かって滑っていく。
マッサージする為に袖をまくっていたから、何の隔たりもなく、彼の熱を感じる。
こんな所も性感帯なのかと思う位に、気持ちいい。

「みわ……ありがと」

さっきの言葉にもまだ返事出来ていないのに、次のボールを投げられて更に混乱は進む。

涼太は、そんな事気にしてないとでも言うように、その滑らかな唇で愛撫を続けていく。

「みわ、オレに全部くれて、ありがとう」

なに……なに?
全部?

「……私、涼太にあげられるものなんて、なんにも、ないよ」

なんにもない。
私には、なんにもないんだ。

涼太みたいなひとの相手が私なんかでいいのかって、いつまで経っても答えが出ない。

「そんな事ないっスよ……オレ、はじめてのものいっぱい貰ったから」

「はじめて……?」

それこそ、男性が……涼太が喜ぶような"はじめて"は何もあげられていない。

犯され続けた身体は、あの事件の時にも言われた……薄汚れた中古品だ。

そんな事考えても、過去には戻れないのに。
後悔したって、仕方ないのに……。




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