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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第77章 共栄


「なんか、お茶菓子ないかな……」

涼太、やっぱりお腹が空いちゃったみたい。
コーヒーのおかわりを入れて、お茶菓子をしまっている棚を開く。

「あ」

あきとお買い物に行った時に見つけた美味しいクッキーが1パック残っているのを発見した。
フラミンゴ柄のペーパーナプキンをお皿の上に敷いて、その上にクッキーを並べる。

……コーヒーも、美味しいの買っておこうかな……。

いやいや、来て貰うのを期待してるみたいで良くないかな。
車、運転大変だもんね。

コーヒー飲んだら帰った方がいいよね。
遅くなればもっと寒くなっちゃうし。

そう考えながら急いで部屋に戻ると、既にテレビは消えていた。

「ごめんね、お待たせ」

「ん、ありがと」

涼太は、ふうふうとマグカップの中のコーヒーに息を吹きかけると、そっと縁に上唇を乗せてひとくち飲んだ。

そして、クッキーを2本の指でつまんで、ぱきり。
まるで映画のワンシーンみたいで、つい見とれてしまう。

「オレ、帰んのやめた」

だから、涼太がなんて言ったのか、すぐに理解出来なくて。

「……え、やめた?」

「うん、やめたっス」

えっと……
えっ、と?

それは一体……

「今日、泊まっていいっスか?」

えっ……
一瞬、喜んだ自分が顔を出した。
それを慌てて振り払う。

「だっ、だめだよ。明日、夕方から練習でしょう? 今日は帰って、ゆっくり疲れを取った方がいいよ」

「んー、でもオレもうすげー疲れててさ。このまま運転したら事故るかも」

事故。
聞いただけで肌が粟立つ単語だ。
どうしよう、そんなの……

涼太は、ころんと床に寝転がってしまう。
安物のラグだもん、そんな所で横になったら余計に身体が痛くなっちゃうよ。

「待って、今お布団敷くから! とりあえず、マッサージするから!」

まずはこの身体に疲れを残さない事が先決だ。
少し休めば、元気になるかもしれない。
布団を敷き、涼太の全身を揉みほぐすと、彼はうつ伏せになったまま動かなくなった。

……寝ちゃった、かな?
少ししてから起こせば、大丈夫……かな?

顔を覗き込もうとして……



……手首を掴まれた。


「つーかまえた」




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