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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第77章 共栄


人気歌手の歌声と共に、スタッフロールが流れていく。

「ハッピーエンドだったね。良かったあ」

みわはふにゃりと笑って、すっかり冷えてるであろうお茶に口をつけた。

無意識なんスね、あの表情。
まだ、ココロの奥底には、そんなに悲しい気持ちがこびり付いてるんスね。

……当たり前か……。

幼い身体を毎日のように犯されていた傷。
複数の男達に輪姦された恐怖。
母親に愛されなかった悲しみ。
家族と一緒に過ごせない寂しさ。

どれも、簡単に治るような傷ではない。
みわが一生背負っていかなくてはならない、重しのような荷物だ。

だから、その荷物をオレも一緒に持ってあげたいって、そう思ってるのに。
だって、みわの悲しそうな顔を見るのが、こんなにも辛い。

「途中、ドキドキしちゃったけど…… でも、全部解決できて良かったね。ラストの雪の中のシーンが」

堪らなくなって、みわを腕の中に閉じ込めた。

「……涼太? お腹、空いちゃった?」

「ぷ、この状況でなんでそーなるんスか」

「だ、だって……」

強く思う。
オレが幸せにしたいって。

「涼太……?」

辛いことも、楽しいことも。
嬉しいことも、悲しいことも。

同じ時間を、ずっと一緒に。

「……みわ、コーヒー、おかわり貰ってもイイ?」

「うん……でも、離してくれなきゃ行けないよ」

クスクスと、腕の中で笑う気配。

「はは、そうっスね」

普通そうに見える微笑みが、かえって痛々しく思えてしまって、カップを持って部屋を出て行こうとする背中を抱き締めそうになって、グッと堪えた。

あの反応が無意識的なものなら、わざわざ意識してしまうようなきっかけを与える事は、したくない。

カチャカチャと、キッチンから聞こえる食器の音すら愛しく聞こえるんだから、かなりの重症だ。

それは自覚ある。
でも、いい。
みわと居る時間こそが、オレにとっての幸せだから。

みわも、そうっスよね?


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