第22章 夏合宿 ー4日目・ふたりの夜ー
「みわっち、水飲む? オレ昨日、部屋からペットボトル持ってきてたんスよ」
「あ、ありがとう。貰おうかな」
黄瀬くんの腕が離れる。
振り返ると、枕元に置いてあるペットボトルを手に取ってフタを開けてくれている。
黄瀬くんがまずひとくち水を飲んだ。
水を飲むその妖艶な仕草に思わず見惚れていると、黄瀬くんと目が合った。
顔が近付いてくる。
「えっ、あの、水……っ」
唇が重なった。
水に触れたせいか、いつもより潤った冷たい唇。
唇が少しだけ開き、黄瀬くんの舌が入ってくるかと思っていたら、突然水が流れ込んできた。
「っ!? ……ゴクッ……けほっ……!」
「……あ、ごめんびっくりした?」
「ちょ……水、え……?」
「うん、飲ませてあげるっスよ?」
何、そのさも当たり前かの顔!
黄瀬くんは再びペットボトルの水を含み、口移しで飲まされた。
「……んんっ!」
ちょっと、何、何、恋人同士ってこーゆーことするの!?
「もう、いらないっスか?」
その色っぽい流し目で言うなんて……
ずるいよ……
「……飲む……」
水を飲ませて貰っているはずなのに、キスしてるし軽く舌も入ってくるしで全然集中できない。
「っはぁ……」
頬を手のひらで包まれ、親指で溢れた水を拭ってくれる。
「……みわっち、えっちな顔」
「黄瀬くんが、こーゆーことするからっ……!」
「だめ? オレ、みわっちといるとエロい事ばっかり考えちゃうんスよ。あーしたい、こーしたいって」
「だ、だから心の準備が……っ」
「そっスか……じゃあ、水飲ませるって口実でみわっちとキスしたいしエロい顔見たいんスけど、いいっスか、ってあらかじめ許可貰えばいい?」
「えっ」
「はい、心の準備できた?」
「心の準備って、違うよね? 違うよね!? っん! んん……ん、くっ……」
唇を離した黄瀬くんは、とってもワルい顔で微笑んだ。
「……オレ、我慢できないんスよ、みわっちに関すること。だから、観念して?」
……我慢できないなんて、嘘。
私が怖がってから、私のナカには指1本すら入っていない。
きっと、我慢させてると思う。
健全な男の子だもん。
ごめんね、黄瀬くん。