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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第77章 共栄


「わ、可愛い……!」

全面に散りばめられた星のマーク。
大小様々な星たちが、夜空みたいに広がっていて。

「これ、こんなに描くの大変だったでしょう!?」

「そんな事ないっスよ、みわって言ったらやっぱ星っスよね」

嬉しい。可愛い!

そして、端っこに動物の絵が描いてある事に気が付いた。
私と考える事が同じだったのかな。
なんだか嬉しいな。
えっと、これは……

「…………タヌキ?」

「ちょっ! どうみてもウサギっスよね!?」

個性的な絵柄、直ぐになんの動物かが分からなくて、見事に予想を外してしまった。

でも、愛嬌があって可愛い。
なんだか癒される……。

涼太、絵は苦手なんだ……なんだかとっても、意外。
なんでもソツなくこなせちゃいそうなのに。

「ご、ごめんなさい、耳が長い……もん、ね。ウサギさんだ。でもなんで、ウサギさん?」

「みわは寂しがりやだからさ、丁度いいかなって。それに、ウサギは月でモチついてるっスよね? 月も、なんかみわっぽいなって」

「うん、お月様も好き!」

んん……月で、お餅を……?

どこまで本気の発言か分からないのだけれど、とにかく、涼太が考え得る"私"という人間が詰まってるんだと分かって、すごく嬉しい。

涼太の目に、私はどう映ってるんだろう。

「ありがとう……大事にする!」

「オレも、毎日使うっス」

ぐるりと回すと、文字が見えてきた。
"TAHNK YOU"、それに……"LOVE"。
スペルがちょっと違っているのが涼太らしい。

ああ、嬉しい。
嬉しいな。

「ありがとう、涼太……割れないように気をつけなきゃ」

薄いガラスに、撫でるように触れた。
宝物が、またひとつ増えた。

「大事にしてるヤツって、すぐ割れちゃうんスよねー。粗品で貰ったヤツとかは、いつまでも割れないのにさ」

「分かる、それ」

どうして、大事にしているものほど、
壊れてしまうんだろう。



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