第77章 共栄
「わ、可愛い……!」
全面に散りばめられた星のマーク。
大小様々な星たちが、夜空みたいに広がっていて。
「これ、こんなに描くの大変だったでしょう!?」
「そんな事ないっスよ、みわって言ったらやっぱ星っスよね」
嬉しい。可愛い!
そして、端っこに動物の絵が描いてある事に気が付いた。
私と考える事が同じだったのかな。
なんだか嬉しいな。
えっと、これは……
「…………タヌキ?」
「ちょっ! どうみてもウサギっスよね!?」
個性的な絵柄、直ぐになんの動物かが分からなくて、見事に予想を外してしまった。
でも、愛嬌があって可愛い。
なんだか癒される……。
涼太、絵は苦手なんだ……なんだかとっても、意外。
なんでもソツなくこなせちゃいそうなのに。
「ご、ごめんなさい、耳が長い……もん、ね。ウサギさんだ。でもなんで、ウサギさん?」
「みわは寂しがりやだからさ、丁度いいかなって。それに、ウサギは月でモチついてるっスよね? 月も、なんかみわっぽいなって」
「うん、お月様も好き!」
んん……月で、お餅を……?
どこまで本気の発言か分からないのだけれど、とにかく、涼太が考え得る"私"という人間が詰まってるんだと分かって、すごく嬉しい。
涼太の目に、私はどう映ってるんだろう。
「ありがとう……大事にする!」
「オレも、毎日使うっス」
ぐるりと回すと、文字が見えてきた。
"TAHNK YOU"、それに……"LOVE"。
スペルがちょっと違っているのが涼太らしい。
ああ、嬉しい。
嬉しいな。
「ありがとう、涼太……割れないように気をつけなきゃ」
薄いガラスに、撫でるように触れた。
宝物が、またひとつ増えた。
「大事にしてるヤツって、すぐ割れちゃうんスよねー。粗品で貰ったヤツとかは、いつまでも割れないのにさ」
「分かる、それ」
どうして、大事にしているものほど、
壊れてしまうんだろう。