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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第77章 共栄


「んじゃ、みわんちにレッツゴー」

車が、レストランの駐車場から出て行く。
これが、今日最後のドライブだ。

2日間もあったのに、あっという間だったな……。

誰かが、見てない隙に時計の針を勝手に回してるんじゃないのかな。
きっとそうだよ。

本当はまだ、会ってから1時間くらいしか経ってない筈。
そんな悲しすぎる妄想で誤魔化すほど、胸がジンジンと痛い。




恨めしくなる程に道路は閑散としていて、信号も赤になる事が殆どなくて、もう私の住むマンションが見えて来た。

ああ、やだよ、終わっちゃう。
デート、終わっちゃう。

マンションの目の前で、ゆっくり車は停止する。

「……ありがとう、涼太」

「うん、気を付けてね」

「……」

「……」

「あ、あの、グラス……見たいな。少しだけ、上がっていく? あったかいお茶淹れるし……」

気が付いたら、口走っていた。
早く帰してあげないと、ゆっくりお風呂に入らせてあげないと、ゆっくり眠らせてあげないとダメなのに。

「そっスね、じゃあチョットだけ。車、停めてくるから先に家入って待ってて」

「あ、うん、エントランスで待ってる」

意外にも涼太はすんなりOKしてくれた。
エントランスに入り、郵便物を確認してからスマートフォンを確認する。

そうだ、あきに連絡しておかないと。
急いでメッセージアプリを起動する。

"あき、ごめんね。
涼太が部屋に来るんだけど、
いいかな?
多分、そんなに長くは居られ
ないと思うんだけど……"

送信すると、すぐに既読マークが付いた。
そして間も無く返信が。

"オッケー。
多分あたしは帰るの遅くなる
と思うー。
彼、明日仕事だし、泊まりは
しないから家帰ろうと思うん
だけど、いい?"

いい? って……いやいやいや、
あきに気を遣わせてどうするの。

"大丈夫だよ、突然ごめん!"

「みわ、お待たせ」

あき、気を遣わせてごめんね。
でも、まだ涼太と一緒に居られるのが嬉しくて。
涼太も……我儘言って、ごめんね。


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