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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第77章 共栄


クリスマスという事で、街の中も一色だ。
仲良さそうに手を繋ぐ親子、腕を組むカップル、手を繋ぐ老夫婦……あったかい景色。

涼太の提案で、みなとみらいまで戻って来てから、2人で街を歩いた。

誘導されて、彼のポケットの中で、手を繋いだ。
あったかい手が、こころまであっためてくれる。

ウィンドウショッピングをしたり、カフェでお茶したり。

カフェラテから立ちのぼる湯気の間に見える涼太は、いつになくご機嫌。

「ねえ、あの人カッコ良くない!?」

「ホントだー、超イケメン! 足もめちゃ長いし。芸能人?」

そんな声が掛けられるのも涼太は慣れっこ。
背景の一部のように、気にするそぶりすらない。

「みわさ、年末年始はお祖母さんトコ?」

「あ、うん、顔出したいなとは思ってて……でもまだ、日程は決めてないんだ。涼太は?」

「んー、オレも実家に1日くらいは顔出すっスかね。あとはまだ全然」

「そっか……」

しん、ふたりの間に会話がなくなって、耳の中を喧騒が占領する。

「……みわさ」

「う、うん」

「大晦日、一緒に過ごさない?」

それは、まさかのお誘いで。
多忙を極める涼太と、一緒に年越し出来るなんて。

「うん、嬉しい。一緒に居たい」

驚くほど素直に言葉が出てきた。
普段なら恥ずかしくて言えないような事。

「やったね。決まり」

涼太は嬉しそうにカップに残ったコーヒーを飲み干した。

その仕草ひとつとっても格好良いんだから、反則だ。

夕食は、イタリアンレストランで夜景を見ながら頂いた。
クリスマスの窓際の席なんか、当日行っても絶対空いてる筈ないと思ったのに、ここもまた予約されてた。

涼太には、敵わない。

眼前に広がる夜景は、まるで星のよう。
キラキラ、キラキラ。
色とりどりの光達が踊ってる。

こんなに幸せな時間があるんだって、初めて知った。

泣きたくなる程誰かを想う事が出来るなんて、あの時の私は、妄想すらしなかった。


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