第77章 共栄
ずっともやもやしてた気持ちが、幸せの裏側に張り付いて、出る機会を窺ってたみたいだ。
「っあ、あ……」
涼太の事、大好き。
何よりも大切。
愛する、っていう事が分からない。
私のこの気持ちは、涼太を愛してるって言っていいの?
こんな事、悩む事自体がおかしいの?
「……みわ、考えごと?」
「あ、っ」
一層深まる挿入。
大好きなひとと、ひとつになってる。
幸せ。
嬉しい。
気持ちいい。
この気持ちに嘘はひとつもない。
きっと、愛が分からないのは、私に大きな欠陥があるからなんだ。
……お母さんは、どうして私に消えて欲しかったの?
私の事が嫌いだったの?
お父さんは、どうして私を愛してくれたの?
知りたい。
全部。
「みわ?」
「りょうた……」
涼太も、お母さんみたいに、いつかは私の事嫌いになっちゃう?
「またなんか不安になっちゃった?」
「ご、ごめ……なさい、ちがうの」
何が違うのかよく分からないんだけど、でもそもそも今の状態に全然余裕なんかなくて、考えが頭に浮かんだそばから、快感に溶けていく。
「大丈夫? やめようか?」
中を拡げるように動いていた腰がピタリと律動をやめ、荒い息を押し殺すようにして、涼太が心配そうに聞いてくれる。
本当に、優しいひと。
「やめ……ないで。私……涼太のこと、すき。大好き。
私、愛とか難しい事、分からなくて……間違ってるかもしれないけど、すき、すきなの」
こんな時に考えるべきじゃなかった。
いつも、後悔ばっかりだ。
……でも涼太は、微笑んだ。
咲き乱れる花のように華やかで、艶やかな笑顔。
「何が不安なのか分かんないけどさ……今ので十分、愛を感じるっスよ」
「ほん、と……?」
これで、この気持ちでいいの?
涼太の一言で、胸のつかえがほわんと溶けていく。
涼太は足の位置を変えて、高々と彼の肩に乗せられていた私の足の膝をベッドの側に向けて降ろした。
「あっ、ん」
自然と、お尻を突き出す姿勢になる。
信頼しているひととしか出来ない体勢。
愛の、交換。