第77章 共栄
時間にしたらきっとそれほど経っていないはずなのに、ずっと彼と繋がっている気すらする。
触れられた所からあっという間に溶かされて、時間の感覚なんてもはや全く感じられない。
「っあ、あぁ」
「……みわ、そんな締めたら、出るって」
射精したら、彼は抜いてしまう。
私の中から、出て行ってしまう。
当たり前なんだけど、いかせてあげたいんだけど、そうしなくちゃいけないんだけど、気持ち良すぎて辛いし、むしろ歓迎なはずなんだけど……。
「や、まだいかない、で」
思わず口をついて出た言葉にハッとした。
何、我儘言ってるんだろう。
私は、こんなに気持ち良くして貰って、いかせて貰ってるのに。
「あの、待って、今の……なし」
困らせてしまっただろうか、怒らせてしまっただろうかと涼太の顔を覗き込むようにすると、彼の太い首の真ん中にある喉仏がごくりという音と共に上下し、くっと歯を食いしばった。
「ナシにしないでよ……そんな嬉しい事言われて……やめられるわけないっスわ……」
「っあ……!?」
ぐり、と最奥を突かれる衝撃に、そこからは朧げにしか記憶に残っていない。
繋がったまま再び押し倒されたと思ったら、暫くして片足を上げられ、横向きの状態で更に深く深く突き込まれた。
この間もやった体位だ。
奥深くまで、中をかき混ぜるように動く腰と、弱い核を的確に押し潰す指。
子宮から内臓から血管の一本一本にまでじんわりと広がる甘い痺れ。
ひたすらいき続けて、このまま死んじゃうんじゃないかと思って、この腕の中でならそれもいいやとか思って。
「みわ……っ、愛してるよ」
「涼太ぁ……」
ぼんやりした頭に、ぽつんと残った疑問。
どうして、涼太はこんなに愛してくれるんだろう。
思い出すまではそれほど気にしてなかった。
けど私……お母さんにも、愛されなかったのに。
当たり前の、家族というものを知らないのに。
こんな私が愛されて、いいのかな。
私が、愛してるって返して、いいのかな。