第77章 共栄
身長差20センチと少しの私たち、涼太が洗面台に寄りかかるかたちになってくれているから、楽にキスが出来る。
まだ前を閉じていなかった涼太のバスローブがはだけて、洗面台に広がった。
まるで、純白のシーツのよう。
ちらりと見えたその裸体は、まるで美術室にあった彫刻のように美しくて、うっかり見惚れてしまう。
拙いキスでも、涼太の息が少し荒くなっていくのが分かる。
いきなり、こんな事して驚いてるかな。
呆れられちゃったら、どうしよう。
矛盾にも湧き上がってくる焦りに戸惑っていると、ぐいと腰を強く引かれ、密着する昂り。
「あ、っ」
「……みわからのキス、すげー嬉しいけどさ……止まんなくなるよ」
大きな手が、私のバスローブを脱がしていく。
少し、余裕のない声。
濡れて、濃くなった瞳。
色っぽい。
「いいよ……誘って、るの」
潤っていたはずの口内が、カラカラになってるのが分かる。
ひどく掠れて色気とは無縁のその言葉でも、涼太は微笑んでくれた。
「ベッド行く?」
この寒々しい脱衣所では、流石に2人とも風邪を引いてしまうかもしれない。
こんな所で発情したのが恥ずかしくて、小さく頷いた……途端。
身体が、宙に浮いた。
「ぎゃあっ!?」
全く色気も何もない声を気にしている暇など無くて……全裸のままお姫様抱っこをされていると気が付いて、卒倒しそうになった。
あちらこちらを隠す余裕もないまま、私の身体は質のいいシーツの上へと投げ出された。
「誘ったのはみわっスよ……覚悟して」
同じく、一糸纏わぬ姿で迫ってくる涼太を見て、心臓が止まりそうになる。
好き、好きすぎて。
こんなにも好きすぎて、おかしくなる。
「あっ、ん」
その指が首筋に触れただけで、全身が燃えているように熱くなる。
中心が彼を求めて蜜を溢れさせているのが……分かる。