• テキストサイズ

【黒バス:R18】解れゆくこころ

第77章 共栄


ドキ、ドキ。

涼太と出会って、初めて意識した時のような胸の鼓動。
何年経っても、慣れる事はなくて。
いっつもドキドキしてる。

さっき……ベッドで目が覚めて、隣に涼太がいない事に気が付いた時の、あの気持ち。

思わず涼太が寝ていた部分に触れて、どの位冷めてしまっているかを確認して、まだ残る温かみに、少しホッとした。

脱衣所に、彼の脱いだ下着とバスローブが置いてあって、また安堵して。

涼太がいないと、私はこんなにも弱い。

きっとこれから、私たちの間には未だかつてない距離が出来るんだろう。

大丈夫かな。
私……大丈夫かな。

……大丈夫。
頑張れる。

だから涼太……ふたりの時間が、欲しいな。
今だけでいいから、ふたりだけの、時間。

朝日が目の中に残像を残したように、涼太の輝きも、ずっとずっと残ればいいのに。

目を閉じても、焼き付くように。

「……このままだとまた逆上せちゃいそうっスね」

そう言う涼太に促されて、浴槽を出た。
ぽかぽかと温まったはずの身体に叩きつけるような冷気が、あっという間に体温を奪っていく。

急いで脱衣所へと駆け込んだ。

「ふぃーっ、ここに戻るまでが寒いんスよね」

「うん、でもまだぽかぽかしてるよ」

温泉効果か、足の先から全身へ熱が巡っていくよう。

でも、油断しないようにバスタオルで身体の水分を拭い、バスローブを羽織ろうとして、腕が涼太にぶつかってしまった。

「あ、ごめんね」

「ん」

逞しい、身体。
身体の出来ていない高校生のそれとは、やっぱりワンランク違う。

この身体に……ばかばか、何妄想してるの。
……
でも……

頭の中がごちゃごちゃしたまま、涼太の腰に抱き着いた。

「みわ?」

なんだろう、この気持ち。
なんだろう……

勝手に抱き着いた腕を解き、涼太を見上げる。

濡れた前髪から覗くのは、琥珀色の宝石。

説明出来ない感情に支配されて、その下に存在する、薄く柔らかい唇を塞いだ。



/ 2455ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp