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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第77章 共栄


バスローブの上からでも分かる、厚くなった胸板。
布一枚隔てたところに、あの絹のような肌がある。

涼太の言葉は、毛布みたいだ。
ふわふわしてて、包まれているうちにぽかぽかあったかくなって。

……抜け出したく、なくなる。

筋肉質の腕に抱きとめられて、おっきな手に頭を撫でられて……。

目を閉じて深く息を吸い込むと、彼の匂い。
贅沢な時間。

今、涼太と同じ時間を過ごしてる。
何をするとかしないとか、それ以前に、大切なひとと同じ時間を生きること。

これがどれほど奇跡的な事なのか、私は彼に会って思い知った。

会話は、ない。
でも、それも不思議と心地良い。

静かな部屋の中で、ふたりの息遣いだけが宙を舞い、繰り返されていく。

生きている。
今、ここで。

「みわ……寝よっか」

涼太は返答を待たぬまま、私の手を取って立ち上がった。

ゆっくりと誘導されて、ふんわりと体重を受け止めてくれる布団……違った、ベッドへ横たわる。

柔らかくて、気持ちいい。
水底へ沈んでいくみたいだ。

涼太も、隣に寝転がって……手を絡めてきた。
所謂、恋人繋ぎというこれ。

常に冷たい私の指に、あったかい彼の指が触れると、次第に温度差がなくなってくる。

私達はキスをするでもなく、身体に触れ合うでもなく、布団の中でただ手を繋いでいた。

心臓がドキドキして落ち着かないのに、今すぐ眠りに落ちてしまえそうなほど、落ち着いてて。
涼太と居る時だけに感じる、この感覚。

「眠れそう?」

そう問うのは、日中の明るい声とは違う、少し低めの夜の声。

「……うん……」

このままなら、眠れると思う。
でも……

……クリスマスだし、お泊まりだし、そういう事をする空気になるかなと思って身構えたのに、一向に涼太は動き出さない。

きっと、私の体調が万全じゃないからだ。
無理をしないように、という彼の優しさ。

私、本当に大事にされてる……。



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