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【黒バス:R18】解れゆくこころ

第77章 共栄


みわからのプレゼント。
手編みのスヌード。
どんなアレンジでも出来るように、しっかりとした長さがある。
ベストにも出来るくらいだ。

手編みと聞いて、嬉しさよりも驚きよりも何よりも先に思ったのは……いつこんな時間かかるモノ編む時間があったんスか? ってことだ。

いや、聞かなくても分かる。
みわにそんな時間、無い。

本当にいつもビックリするほどスケジュールをギッチリ詰めて、息つく暇もないくらいに動いてる。

講義以外の空いてる時間は全てバイトにあてて、家に帰れば寝るまでひたすら勉強。

そんな中、恐らく睡眠時間を削って作ってくれたんだろう。
みわは決して器用なタイプじゃない。
むしろ、不器用な子。

調べながら、一所懸命作ってくれた?
編みながら、オレの事考えてた?

みわの貴重な貴重な時間を使って、これを。

それは、物だけじゃなくて、みわの時間までプレゼントしてくれたってことだ。

もうなんか、たまんない。
胸が、痛い。
嬉しいとかいう表現じゃ足んない。

こんな事滅多にないけど、言葉が、出てこない。
出てこなくて、それでもこの気持ちを表したくて、みわを抱きしめようと手を伸ばすと、包みの中からひらりとカードが出てきた。

"メリークリスマス!
涼太、いつもありがとう。
寒さに負けず、頑張って!

      みわより"

可愛いトナカイがサンタの乗ったソリを引いているクリスマスカードに書かれた、綺麗な字。
サンタが海常のカントクに似てる。

緊張しているのか、いつもよりも線が硬い。
手書きのメッセージ、こんなに嬉しいもんなんだなって、みわに教えて貰った。

「あっ、あのね、無理して使わなくても大丈夫だから! 受け取ってくれただけで満足っていうか、ほら私、センスないし」

口下手なクセに、アワアワせっせと話す姿が可愛い。

ヤバい。
やっぱり、全部好きだ。
みわが好きで好きで、どうしようもない。


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